電炉製鋼圧延工場の基礎知識
電気負荷としてのアーク炉の特徴

アーク炉操業の必然性に起因する負荷変動

アーク炉操業のイメージ

アーク炉の操業は、概ね1時間前後をサイクルとしたバッチ式で行われます。

スクラップの装入や出鋼作業時、あるいは炉の修理作業時には、安全確保のため電気を遮断する必要があることから、炉用変圧器の一次側の遮断器を頻繁に開閉します。そのため、1日に何度もオンオフを繰り返すことになります。

近年では、スクラップを予熱しながら連続して装入する方式や、溶けた鉄を常に残しておくような方式も採用されていますが、出鋼はバッチ式で行われるため、基本的な操業サイクルは変わりません。

ここで注目すべきは、この操業に伴って発生する、有効電力と無効電力の変動です。最も過酷な変動は、遮断器を投入する際に発生する変圧器の励磁突入電流です。この電流は、定格電流の何倍ものピーク値を持ち、さらに多くの第2高調波成分を含んでいます。

無効電力:無効電力とは、電気回路において、電力を消費することなく、送配電線と負荷の間を行き来する電力のこと。有効電力(実際に仕事をするために消費される電力)に対して、無効電力と言われます。

励磁突入電流:励磁突入電流とは、変圧器などの磁気回路に電圧を印加した際に、一時的に流れる大きな電流のこと。

アーク柱のサイズ

交流アーク炉は変圧器のタップ切替にて電圧制御を行い、電極昇降によりインピーダンスを制御。アーク長と電流を制御するのに対し、直流アーク炉はサイリスタの位相制御により発生電圧を調整する事で、直流電流を制御。電極昇降によりアーク電圧を制御します。

アーク現象に伴う特性

アーク炉操業に起因する特性

その他の特性

アーク炉の基礎知識