物流センター・倉庫に関する動向調査
物流・倉庫部門における人手不足の実態調査
物流・倉庫部門における人手不足対策、取り組み上位は「業務フロー・業務プロセスの改善見直し」「教育訓練能力開発化」「業務の平準化」
物流産業における労働力不足は社会問題となっています。背景には市場成長を続けるECによる物流機能の需要増、少子高齢化社会による生産人口の減少などがあります。
とくにトラックドライバー不足が深刻であるといわれていますが、物流倉庫現場においても人手不足が進んでいると考えられます。さらに、昨今の労働環境の変化により、物流倉庫部門の人手不足状況は大きく変化しています。
そこで富士電機では、インターネト調査による物流・倉庫部門の人手不足に関する実態調査を実施しました。
物流・倉庫部門及び事業所従事者を対象とした調査です。物流・倉庫現場の役職者からの回答を中心に、物流倉庫の人手不足と、人手不足への対策に関する設問に回答いただきました。
対象エリア:全国
調査対象者:物流・倉庫部門事業所従事者
回答者属性:一般社員以上の役職者、従業員規模
回答者の業種:製造業 49%、卸売業 30%、小売業 11%、運輸・郵便業 3%、その他 8%
有効回答数:339人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年6月23日~6月25日
調査項目
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足状況
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物流・倉庫部門の人手(人材)が不足している理由
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足が業務及ぼす影響
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足への対応・取り組み状況について
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多様な人材の活用
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教育訓練・能力開発の強化
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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業務の外部委託(アウトソーシング)
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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多様な働き方実現
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従業員間における業務の平準化
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IoT/IT活用による省力・効率化
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既存設備の更新による省力・効率化
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他企業との協働見える化/見せる化の手段・方法
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物流・倉庫部門の人手(人材)の過不足に関する問題・課題について(FA)
以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。
物流・倉庫部門の人手(人材)不足状況
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足の状況について「非常に不足している」と回答したのは全体の7.3%、「不足している」が24.4%、「やや不足している」が33.3%となった(図1)。
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従業員規模別の集計では「非常に不足している」が最も多かったのは5,000人以上の回答で11.8%、最も少なかったのは500人~999人で回答は2.4%となった。
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図1
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足状況
物流・倉庫部門の人手(人材)が不足している理由
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人手(人材)が不足している理由について、もっとも回答が多かったのは「退職による欠員」で36.2%となった。次いで「離職率が高い」で25.4%、「労働生産性が低い」で22.0%の順に続く結果になった(図2)。
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人手(人材)が不足している理由のうち「労働生産性が低い」については、従業員規模別で大きな差はみられなかった。
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図2
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物流・倉庫部門の人手(人材)が不足している理由
物流・倉庫部門の人手(人材)不足が業務及ぼす影響
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人手(人材)不足がどの程度業務に影響を及ぼすかについて「深刻な影響がある」と回答したのは全体の8.2%、「影響がある」が48.7%、「今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される」が38.8%となった(図3)。
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従業員規模別では、5,000人以上で「影響がある」が全体と比べやや高くなっており、「今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される」が最も多かったのは100人未満の回答で47.5%、最も少なかったのは5,000人以上で回答は21.2%となった。
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図3
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足が業務及ぼす影響
物流・倉庫部門の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)
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人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)について、もっとも回答が多かったのは「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」で40.5%、次いで「業務・サービスの質の低下」で40.5%、「職場の雰囲気の悪化」で35.1%の順に続く結果になった(図4)。
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従業員規模別では、100人~499人で「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」が全体と比べやや高くなっている。
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「業務・サービスの質の低下」については最も多かったのが従業員規模5,000人以上の回答で53.1%、最も少なかったのは100人未満で回答は34.2%となった。
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図4
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)
物流・倉庫部門の人手(人材)不足への対応・取り組み状況
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足への対応方法・取り組み状況について、「業務フロー業務プロセスの改善見直し」の回答が最も多く60.3%、次いで「教育訓練能力開発の強化」が51.7%、「従業員間における業務の平準化」が49.6%となった。(図5)。
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図5
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物流・倉庫部門の人手(人材)不足への対応・取り組み状況
多様な人材の活用
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多様な人材の活用について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.9%となった。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が12.1%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が25.4%となった(図6)。
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従業員規模別では従業員数が多くなるほど多様な人材の活用が進んでいる傾向がみられた。「取り組んで効果があった」が最も多かったのは5,000人以上の回答で15.2%、最も少なかったのは500人~999人で回答は3.2%となった。
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図6
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多様な人材の活用
教育訓練・能力開発の強化
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教育訓練・能力開発の強化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の8.2%となった。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が9.5%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が34.1%となった(図7) 。
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従業員規模別では、5,000人以上で「取り組んで効果があった」が全体と比べやや高くなっている。
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図7
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教育訓練・能力開発の強化
業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直しについて「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の12.5%、「取り組んだが効果がでていない」が10.8%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が37.1%となった(図8) 。
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従業員規模別では5,000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は24.2%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では7.5%となり、活用状況に16.7%の差が開いた。
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図8
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
業務の外部委託(アウトソーシング)
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業務の外部委託(アウトソーシング)について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の13.8%、「取り組んだが効果がでていない」が9.9%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が23.3%となった(図9) 。
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従業員規模別では5,000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は27.3%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では6.2%となり、活用状況に21.1%の差が開いた。
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図9
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業務の外部委託(アウトソーシング)
ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.3%、「取り組んだが効果がでていない」が6.5%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が12.9%となった(図10) 。
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従業員規模別では従業員数が多くなるほどロボット・自動機等の活用による自動化・省力化が進んでいる傾向があり、5,000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は18.2%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では3.8%となり、活用状況に14.4%の差が開いた。
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図10
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
多様な働き方実現
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多様な働き方実現について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.8%、「取り組んだが効果がでていない」が9.9%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が26.3%となった(図11) 。
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従業員規模別では、5,000人以上で「取り組んで効果があった」が全体と比べやや高くなっており、5,000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は24.2%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では2.5%となり、取り組みによる効果状況に21.7%の差が開いた。
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図11
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多様な働き方実現
従業員間における業務の平準化
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従業員間における業務の平準化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.1%、一方で、「取り組んだが効果がでていない」が8.2%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が32.3%となった(図12) 。
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従業員規模別では従業員数が多くなるほど従業員間における業務の平準化が進んでいる傾向がみられた。
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図12
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従業員間における業務の平準化
IoT/IT活用による省力・効率化
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IoT/IT活用による省力・効率化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.0%、一方で、「取り組んだが効果がでていない」が3.9%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が21.1%となった(図13) 。
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従業員規模別では従業員数が多くなるほどIoT/IT活用による省力・効率化が進んでいる傾向がみられ、「取り組んで効果があった」が最も多かったのは5,000人以上の回答で15.2%、最も少なかったのは500人~999人で回答は3.2%となった。
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図13
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IoT/IT活用による省力・効率化
既存設備の更新による省力・効率化
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既存設備の更新による省力・効率化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の8.2%、「取り組んだが効果がでていない」が9.1%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が19.4%となった(図14) 。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは1,000人~4,999人の回答で14.8%、最も少なかったのは100人未満で回答は3.8%となった。
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図14
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既存設備の更新による省力・効率化
他企業との協働見える化/見せる化の手段・方法
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他企業との協働について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.0%、一方で、「取り組んだが効果がでていない」が6.0%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が15.1%となった(図15) 。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは1,000人~4,999人の回答で14.8%、最も少なかったのは100人未満で回答は1.2%となった。
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図15
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他企業との協働見える化/見せる化の手段・方法
物流・倉庫部門の人手(人材)の過不足に関する問題・課題について(FA)
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物流・倉庫部門の人手(人材)の過不足に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「従業員の高齢化」「採用の難しさ」「人材育成」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)
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アナログな職務が未だ多く、無駄な時間が多くかかっているように感じる
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人材が定着せずに業務効率が向上しない
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コロナ禍で逆に仕事が減り、逆に人材が余っている
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仕事のできる人へ業務が集中して、仕事量のバランスがわるくなっている
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繁忙期、閑散期があり年間を通して不足しているかはわからない
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技術の伝承が困難になってきている
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高齢社員と若手社員の開きが大きく中間が少ない
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以前と比べて求人への応募が少なく、採用が難航している
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外国人研修生を受け入れているので、日本語のキャッチボールが難しい
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人員の高齢化が起こっているが、新たな人材の確保に向かっていない
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必要な時間に、必要なメンバーの補充、ノウハウの提供について間に合っていない
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ある特定の人しかできない業務があるので、イレギュラーに対応しにいくい
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採用しても戦力化には時間がかかり、新たに社員が辞めると採用、教育の繰り返しになる
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賃金が他より安く設定しているため募集しても集まらず高く設定し採用すれば現行の従業員との釣り合いが取れず苦慮している
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基本的に機械が行う作業が多いが、動線の問題や機械トラブルが頻繁にあるため、人手に頼る作業が多くなる
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調査結果ダウンロード
本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。
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