富士電機株式会社

IR資料室富士電機レポート/統合報告書

セグメント別概況

発電プラント

再生可能エネルギー、サービス、原子力関連事業の拡大、収益力の向上を図ります。

執行役員
発電プラント事業本部長
堀江 理夫

写真:堀江 理夫
図:基本情報。2022年度売上高873億円。売上高構成比 再生可能エネルギー、CO2非排出分野、新設、サービス
事業内容 各種発電プラント設備において設計・製作から現地据付・試運転・アフターサービスまで一貫して提供し、脱炭素社会の実現に貢献
主な向け先 発電事業者、電力会社、自治体
強み

プラント全体を取りまとめるエンジニアリング力

地熱発電における世界トップシェアの豊富な納入実績とさまざまな熱源に対応できるワンストップ提案力

水力発電において効率的な発電を実現する水車設計・製造技術、環境に配慮した差別化商材

太陽光、風力発電における蓄電制御の技術と経済性

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富士電機の事業分野

市場動向と事業機会

気候変動問題の解決に向けた取り組みとしてエネルギー市場の脱炭素化が加速し、再生可能エネルギーと原子力関連分野の事業機会が拡大しています。

商材 市場動向と事業機会
地熱発電

グローバルで新規の熱源の調査・開発が進むとともに、国内では特に小容量案件の具体化が進んでいます。

水力発電

安定的な電力源として国内で老朽化した発電設備の更新需要や出力アップの需要が継続するとともに、供給予備力、調整力、再生可能エネルギーの吸収力として揚水発電の価値が見直され、既設発電所を有効活用するための更新需要が見込まれます。

太陽光・風力発電

各企業のカーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として事業活動で消費するエネルギーを再生可能エネルギーに置き換える動きが広がるなか、自家消費型発電設備の需要が拡大しています。

原子力関連分野

2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」において、エネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源として原子力の活用が打ち出されたことに伴い、廃止措置に加えて再稼働に伴う廃棄物処理分野の需要拡大が見込めます。

サービス

国内で電力需給のひっ迫に伴い設備の信頼性向上のニーズが高まるとともに、海外で地熱発電設備の更新やアップグレードの需要が期待できます。

2022年度実績・2023年度計画

2022年度は、地熱発電の大口案件影響により対前年度で増収増益となり、売上高は対前年度88億円増加の873億円、営業利益は4億円増加の36億円、営業利益率は対前年度0.1%改善して4.1%となりました。

2023年度は、前年度の大口案件の減少により対前年度減収も、業務の効率化や案件差等により増益、売上高は対前年度43億円減少の830億円、営業利益は対前年度6億円増加の42億円、営業利益率は5.1%を計画しています。

図:業績推移(億円)。2023年度経営計画。売上高830、営業利益42、営業利益率5.1%

重点施策

加速する脱炭素の潮流を踏まえ、再生可能エネルギーと原子力のCO2非排出分野と既設発電設備の保守・更新、高効率化を担うサービス事業の拡大を推進しています。

図:CO2⾮排出分野とサービス売上⽐率の拡⼤ CO2排出※/⾮排出別 売上⾼構成⽐:2023年度\経営計画 CO2排出24%、CO2非排出76%。サービス/新設別 売上⾼構成⽐:2023年度\経営計画 新設49%、サービス51%
再生可能エネルギーの受注拡大
●地熱発電

高温の熱源に適したフラッシュ方式、低温の熱源でも発電可能なバイナリー方式を使い分け、幅広いお客様のニーズに対するワンストップ提案力を強みとしてグローバルトップシェアを維持しています。今後もエネルギー開発が進む環太平洋エリアやアフリカをはじめとして国内外で受注活動を強化するとともに、進行するプロジェクトにおいては地域ごとに最適なサプライチェーンの構築とコスト変動等のリスク管理を徹底し収益を最大化します。

図:地熱発電設備受注台数実績(2022年9月時点)。日本10、米州26、欧州・アフリカ11、アジア・オセアニア39
●水力発電

国内既設発電所のS&B需要獲得に加え、揚水発電分野の近代化ニーズへの取り組みにより再エネの主力電源化に貢献します。旺盛な需要を受けて水力発電案件の受注残は直近5年間で約3.4倍に拡大しており、着実なプロジェクトの遂行に向けた体制構築に努めています。

※ S&B(スクラップアンドビルド):老朽化して非効率な設備を廃棄・廃止して新しいものに置き換えることにより、効率化を実現すること。

図:水力発電の受注残高推移。2023年度経営計画約3.4倍 ※ 2018年度の受注残高を起点に倍数で表記
(画像提供元)東京電力リニューアブルパワー(株)様 生坂発電所
●太陽光・風力発電

国内で企業や自治体における自家消費型発電設備の導入や地域マイクログリッドの構築が進むなか、蓄電池を活用した出力安定化技術や、自社工場で培った既存の発電設備との協調運用のノウハウなど、当社の強みを組み合わせ、顧客ニーズに応じた最適な提案で受注拡大を推進します。

原子力関連設備事業の拡大

日本初の商用原子力発電所建設時から培ってきた豊富な経験と、核燃料や廃棄物の遠隔ハンドリング、放射性廃棄物処理、原子炉工学の3つのコア技術を活かし、もんじゅの燃料体取り出しなどの廃止措置に加え、今後の発電所再稼働に伴う放射性廃棄物処理など、受注拡大に取り組みます。また、原子力発電の更なる高い安全性の実現に向け、パートナーとともに次世代革新炉案件にも積極的に取り組んでいきます。

サービス事業の拡大

国内では、既設火力発電所の運転停止リスク極小化や再生可能エネルギーと組み合わせた際の出力調整力向上に寄与するソリューションを通じて受注拡大を図ります。海外では地熱発電設備の豊富な納入実績を強みとして、保守・更新や出力アップの提案を強化します。