物流倉庫の基礎知識
物流センターの機能

物流は大きく輸送・保管・荷役・包装・流通加工の5つの機能から構成されています。これを「物流5大機能」と呼びます。近年ではこれに加え物流情報管理を含める場合があります。これを物流6大機能と呼ぶことがあります。

一般的には上記物流5大機能に対応していることが「物流センター」の要件になります。ただ商品等を保存するだけではなく、流通加工から、顧客へ商品を届けるまでのプロセス全体を管理する機能をもっているというのが「物流センター」の特長になります。

このページでは、物流の各機能について説明します。

物流センターの機能

①輸送

「輸送」は商品などを生産者・供給者から消費者・需要者へ移動させることです。物流の場合では、しばしば商品の付加価値が高くなるプロセスになります。例えば工場から物流センターへ、物流センターから小売店へなどのがあります。物流機能としては、物流コストや納期への対応をいかに最適化するかが求められます。

輸送方法を大きく分類すると「陸送(鉄道・トラックなど)」「海運(船など)」「空輸(飛行機など)」があります。また、輸送の範囲によって「配送」「運搬」という場合もあります。

②保管

「保管」とは、物流センターや物流倉庫に商品等を保管することです。生産者と消費者の時間的なギャップを埋める役割があります。例えば物流倉庫に商品を保管しておけば需要に合わせて、時間をかけずに消費や店舗に商品を出荷することができます。

このため、物流センターでは必要なときに必要な商品を出荷できるよう保存したり、商品価値が落ちないように維持したりといった管理機能が求められます。

③荷役

「荷役(にやく)」とは、物流センターや物流倉庫で輸送機関から荷物を積み下ろしを行う業務全般のことを指します。主な作業としては「荷揃え」「積み付け・積卸し」「運搬」「保管(棚入れ)」「仕分け」「集荷(ピッキングなど)」があります。

物流コストのうち、この「荷役」が大きな割合をしめている業種は多く、とくに卸売業・小売業でこの傾向が見られます。物流センターではスピーディに荷物の積み下ろし作業を行えるような仕組みを作ることが求められます。

④包装

「包装」とは、商品が壊れたり、破損することで、商品価値が低下するのを防ぐための機能です。また「包装」することで、輸送機関に積みやすくなったり、商品の管理がしやすくしたりすることが可能になります。「包装」は役割や目的によって「個装」「内装」「外装」があります。とくに輸送を目的としたものは「輸送包装」と呼ばれます。

物流センターでは商品を適切に「包装」するための設備や、安全に商品を輸送するための仕組みが求められます。

⑤流通加工

「流通加工」は、物流センターや物流倉庫で商品に加工をすること全般を指します。加工には「ラッピング」「値札つけ」「詰め替え」「調理」「組立て」「小分け」「袋詰め」「セット組み」などがありまます。これらは商品に付加価値をつけることを目的としており、例えばメーカーから商品を大量に買い入れ、小分けにして消費者が買いやすいようにしたり、素材・部品を物流センターで仕入れ調理したり、商品を組み立てたりてから店舗へ配送するなどが該当します。

付加価値の高い物流サービスを提供するためには、これら物流5大機能が連携し機能している必要があります。

この他「物流情報管理」は物流に関する業務を支援するための情報システム全般のことを指します。代表的なシステムには「WMS(倉庫管理システム)」や「WES(倉庫実行システム)」「DPS(デジタルピッキングシステム)」や、「EDI」、「在庫管理システム」、「配車計画システム」などがあります。近年では労働人口減少が予測されていることを背景に、物流倉庫のデジタル化、より生産性の高い物流システムの構築が求められています。

「物流センター」と「物流倉庫」の違い

この他「物流センター」と類似したものに「物流倉庫」があります。「物流倉庫」は「物流センター」と比較した場合、保管機能に重きをおいており、より効率よく保管することを目的としております。従って必ずしも物流5大機能を有してない場合があります。

「物流センター」と「物流倉庫」の使い分けを行う場合には、例えば「物流センター」では商品を届けるプロセスを最適化し、「物流倉庫」では商品の保管を効率化することで統合的な物流システムの構築が可能になります。

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