物流現場を効率化するための基礎知識
棚卸方法と棚卸誤差率

物流倉庫現場における棚卸とは

物流倉庫現場における棚卸とは、倉庫内の現物の在庫数とデータ上の在庫数が一致しているかどうかを確認する作業のことです。棚卸には実際に在庫の現物を数える実地棚卸と、帳簿上で在庫を計算する帳簿棚卸があります。

バーコードやRFIDを活用したロケーション管理・棚卸・在庫管理が可能。在庫状況を正確・リアルタイムに把握することが可能になります。シンプルなシステム構成のため、保管倉庫単位で導入できます。

実地棚卸とは

物流倉庫に保管されている現物を確認することを実地棚卸と呼びます。実地棚卸には一斉棚卸法と循環棚卸法があります。帳簿上で管理されている在庫の数と、物流倉庫で保管されている在庫の数があっているかどうかを確認し、必要に応じて在庫数の差異が生じた原因の調査や、対策等を行い、最終的には棚卸した在庫と帳簿上の在庫の差異を修正し、例えば期末時点の在庫量の確定などを行います。

一斉棚卸法

一斉棚卸法とは、物流倉庫で半年に1回、年に1回など期間を決めて、一度にすべての商品の棚卸を行うやり方です。この棚卸期方法は棚卸間中、入庫・出庫などの通常作業を一時的に停止する必要があります。

また、決められた期間内にすべての商品の棚卸を行えるだけの体制を組む必要があります。

循環棚卸法

循環棚卸法とは、物流倉庫で棚卸するエリアを限定して、少しずつ棚卸作業を進めていくやり方です。一斉棚卸法と比較して、通常作業の影響を最小にして棚卸作業ができ、在庫数に差異があった場合でも早期発見・修正することができる特長があります。

一方で、逐次棚卸を行っていくため、在庫管理システムなど棚卸作業を正確に記録するための仕組みが必要になります。

物流倉庫の棚卸やり方

物流倉庫の実地棚卸の方法には、「タグ方式」「リスト方式」「バーコード方式」があります。

タグ方式

タグ方式とは棚卸した現物や棚などにタグ(棚札などの伝票)を貼り、このタグに棚卸作業者が数量等を記録していき、棚卸が終わったらタグを回収するという棚卸方法です。すべての現物にタグを貼り付けるため、数え間違い・確認漏れがないことが視覚的に分かりやすいのが特長です。

一方で事前準備・人材教育を実施する必要があり、現物が多い場合は、タグの記載・回収に時間がかかるというデメリットがあります。また、棚卸した結果を集計して、システムに取り込む必要があります。

リスト方式

リスト方式とは、事前に確認すべき現物の一覧表を作成しておき、棚卸をする方法です。棚卸作業者はリストを持って指定の保管場所で現物確認した結果を記録していきます。現物の情報があからじめリスト化されているため作業がしやすいという利点があります。

タグ方式と比較するとリストを目視しながら棚卸済かどうか判断する必要があり、数え間違い・漏れが起こりえます。また、作成したリストと、実際の保管場所が異なる場合や記録されていない現物がある場合があります。リストの出力には在庫管理システムの導入が利用され、棚卸した結果を集計して、システムに取り込む必要があります。

バーコード方式

バーコード方式は棚や現物にバーコードを付けて置き、ハンディターミナル等を活用して棚卸する方法です。バーコードはを自社で発行し貼り付ける方法の他、JANコードやQRコードなどが利用されています。

このバーコード方式は一般的には在庫管理システムの棚卸機能として提供されることが多く、人の作業を減らすことで、記入ミス・棚卸漏れを最小化することでができるメリットがあります。作業実績はリアルタイムで在庫管理システムにデータが反映されます。結果として棚卸の精度が向上し、循環棚卸の実施も容易になるため人的コストも抑えることができます。

棚卸誤差率

物流倉庫で行った実地棚卸と、帳簿上の棚卸(帳簿棚卸)は必ずしも一致しません。実地棚卸と帳簿棚卸に差異がある場合は、帳簿上の在庫数を実態に合わせる必要があります。この現物の在庫と帳簿上の在庫の差異率を棚卸誤差率もしくは在庫際率といいます。

棚卸誤差率は在庫管理精度を測るための指標の一つで在庫誤差率は在庫差異量を棚卸後数量を割った比率で求めることができます。一般に棚卸誤差率は0.1%以下が望ましいとされています。

在庫管理せの精度を高めるためには、正確な棚卸作業が必要になります。そのためにはIoTや情報システムなどを活用し、人的ミスや属人的作業の標準化などを行うのも一手です。

ロケーションの管理や、どれぐらいの期間保管されているかなどの管理も容易になります。棚卸作業を効率化することで、棚卸回数を増やすこと、人的ミスを最小化することができるため、物流倉庫の生産性向上に寄与します。

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