食品製造業・食品工場に関する動向調査
食品工場の人手不足に関する意識調査

「非常に不足している」と「不足している」の回答は全体の55.6%、対応策で効果ありは「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」が最多

食品製造業では熟練作業者の高齢化による退職、労働人口減などを背景に人手不足をどう解決していくかが課題となっています。

人手不足を解決するための方法としては働き方改革、機械化・自動化やデジタル化の推進などが考えられ、例えば農林水産省では 食品製造業の人手不足・人材不足の課題に対し、生産性の向上による課題解消にむけたさまざまなモデル実証が行われています。

これら施策は主に食品工場の人手不足解消・生産性向上を意識したものであり、これらを推進していくためには食品工場現場に限定した人手不足状況や、どのような施策・対策が行われているかを把握することが必要です。

今回、この現状を把握するため、食品製造業かつ食品工場に勤務している回答者を対象に、人手不足に関する現状、取り組み状況、具体的に実施していること、 問題・課題についてインターネット調査を実施し、「食品工場の人手不足に関する意識調査」としてまとめました。

食品工場の人手不足に関する意識調査結果

調査概要

対象エリア

:全国

調査対象者

:食品製造業従事者、かつ、事業所形態が食品工場

有効回答数

:311人

調査方法

:インターネット調査

調査期間

:2023年5月30日~5月31日

属性データ

[左:所属部門]

  • 製造・生産 56.3%

  • 生産管理 11.6%

  • 品質管理 10.6%

  • 技術・研究開発 5.8%

  • 保全・点検 4.2%

  • その他 11.6%

[右:従業員規模]

  • 100人未満 28.3%

  • 100人~299人 28.6%

  • 300人~999人 21.9%

  • 1000人以上 21.2%

調査項目

  • 食品工場の人手不足状況

  • 食品工場で人手が不足している理由

  • 食品工場の人手不足が業務及ぼす影響の有無

  • 食品工場の人手不足が業務に与えている影響(懸念される影響)

  • 食品工場の人手不足への対応方法・取り組み状況について

    • 多様な人材の活用

    • 教育訓練・能力開発の強化

    • 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し

    • 業務の外部委託(アウトソーシング)

    • ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化

    • 多様な働き方実現

    • 従業員間における業務の平準化

    • IoT/IT活用による省力・効率化

    • 既存設備の更新による省力・効率化

    • AIによる自動化・省力化

  • 食品工場の人手の過不足に関する問題・課題について(FA)

以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。

食品工場の人手不足状況

「非常に不足している」・「不足している」が全体の55.6%

食品工場の人手不足の状況について、「非常に不足している」と回答したのは全体の15.4%、「不足している」が40.2%となった(図1)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほど食品工場の人手不足の状況が進んでいる傾向がみられた。

図1 食品工場の人手不足状況

食品工場の人手不足状況の調査結果
図1:データ
  • 非常に不足している 15.4%

  • 不足している 40.2%

  • やや不足している 29.6%

  • 特に不足していない 13.2%

  • わからない 1.6%

食品工場で人手が不足している理由

回答が多かったのは「退職による欠員」で47.9%

人手が不足している理由について、回答が多かったのは「退職による欠員」で47.9%、次いで「離職率が高い」で40.4%、「採用数の不足」で37.7%の順に続く結果となった(図2)。

図2 食品工場で人手が不足している理由

食品工場で人手が不足している理由の調査結果
図2:データ
  • 退職による欠員 47.9%

  • 離職率が高い 40.4%

  • 採用数の不足 37.7%

  • 労働生産性が低い 26.4%

  • 人材獲得競争の激化 24.9%

  • 過去の採用抑制の影響 14.0%

  • 景気回復による業務量の増加 12.5%

  • 既存業務範囲の拡大 10.9%

  • 休職による欠員 9.8%

  • その他 5.7%

  • わからない 1.1%

食品工場の人手不足が業務及ぼす影響の有無

「深刻な影響がある」と回答したのは全体の14.3%

人手不足が業務及ぼす影響について、「深刻な影響がある」と回答したのは全体の14.3%、「影響がある」が54.3%となった(図3)。

従業員規模別では、特に大きな差はみられなかった。

図3 食品工場の人手不足が業務及ぼす影響の有無

食品工場の人手不足が業務及ぼす影響の有無の調査結果
図3:データ
  • 深刻な影響がある 14.3%

  • 影響がある 54.3%

  • 今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される 29.1%

  • 影響はない 1.9%

  • わからない 0.4%

食品工場の人手不足が業務に与えている影響(懸念される影響)

回答が多かったのは「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」で58.7%

人手不足が業務に与えている影響について、回答が多かったのは「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」で58.7%、次いで「職場の雰囲気の悪化」で45.2%、「技術・ノウハウの伝承が困難」で39.4%の順に続く結果となった(図4)。

図4 食品工場の人手不足が業務に与えている影響(懸念される影響)

食品工場の人手不足が業務に与えている影響(懸念される影響)の調査結果
図4:データ
  • 従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少 58.7%

  • 職場の雰囲気の悪化 45.2%

  • 技術・ノウハウの伝承が困難 39.4%

  • 業務・サービスの質の低下 34.0%

  • 業務の見直しや業務改善活動の停滞 28.2%

  • 納期遅れやミス 25.9%

  • 需要増加に対応できず機会損失が発生 21.6%

  • 事業拡大・企業成長の妨げ 18.9%

  • 外部委託や採用活動などによるコストの増加 16.6%

  • その他 2.3%

  • わからない 2.7%

食品工場の人手不足への対応方法・取り組み状況について

回答が最も多かったのは「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」で12.1%

食品工場の人手不足への対応方法・取り組み状況について、もっとも「取り組んで効果があった」の回答が多かったのは「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」で12.1%、次いで「既存設備の更新による省力・効率化」が11.3%、「多様な人材の活用」が9.4%の順に続く結果となった(図5)。

図5 食品工場の人手不足への対応方法・取り組み状況について

食品工場の人手不足への対応方法・取り組み状況についての調査結果
図5:データ

[「取り組んで効果があった」との回答比率]

  • 多様な人材の活用 9.4%

  • 教育訓練・能力開発の強化 7.5%

  • 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し 8.7%

  • 業務の外部委託(アウトソーシング) 6.8%

  • ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化 12.1%

  • 多様な働き方実現 9.1%

  • 従業員間における業務の平準化 7.9%

  • IoT/IT活用による省力・効率化 3.0%

  • 既存設備の更新による省力・効率化 11.3%

  • AIによる自動化・省力化 3.8%

多様な人材の活用

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.4%

多様な人材の活用について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.4%、「取り組んだが効果がでていない」が11.7%となった(図6)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほど多様な人材の活用が進んでいる傾向がみられた。

図6 多様な人材の活用

多様な人材の活用の調査結果
図6:データ
  • 取り組んで効果があった 9.4%

  • 取り組んだが効果がでていない 11.7%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 34.3%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 9.4%

  • 取り組んでおらず、予定もない 19.2%

  • あてはまるものはない/わからない 15.8%

教育訓練・能力開発の強化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.5%

教育訓練・能力開発の強化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.5%、「取り組んだが効果がでていない」が17.4%となった(図7)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほど教育訓練・能力開発の強化が進んでいる傾向がみられた。

図7 教育訓練・能力開発の強化

教育訓練・能力開発の強化の調査結果
図7:データ
  • 取り組んで効果があった 7.5%

  • 取り組んだが効果がでていない 17.4%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 35.1%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 12.1%

  • 取り組んでおらず、予定もない 14.0%

  • あてはまるものはない/わからない 14.0%

業務フロー・業務プロセスの改善・見直し

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の8.7%

業務フロー・業務プロセスの改善・見直しについて、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の8.7%、「取り組んだが効果がでていない」が15.8%となった(図8)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほど業務フロー・業務プロセスの改善・見直しが進んでいる傾向がみられた。

図8 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し

業務フロー・業務プロセスの改善・見直しの調査結果
図8:データ
  • 取り組んで効果があった 8.7%

  • 取り組んだが効果がでていない 15.8%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 36.2%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 14.7%

  • 取り組んでおらず、予定もない 14.3%

  • あてはまるものはない/わからない

業務の外部委託(アウトソーシング)

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.8%

業務の外部委託(アウトソーシング)について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.8%、「取り組んだが効果がでていない」が9.1%となった(図9)。

従業員規模別では100人未満で「取り組んで効果があった」が全体と比べやや高くなっている。

図9 業務の外部委託(アウトソーシング)

業務の外部委託(アウトソーシング)の調査結果
図9:データ
  • 取り組んで効果があった 6.8%

  • 取り組んだが効果がでていない 9.1%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 23.0%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 14.0%

  • 取り組んでおらず、予定もない 32.1%

  • あてはまるものはない/わからない 15.1%

ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の12.1%

ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の12.1%、「取り組んだが効果がでていない」が10.6%となった(図10)。

従業員規模別では300人~999人で「取り組んで効果があった」が全体と比べやや高くなっている。

図10 ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化

ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化の調査結果
図10:データ
  • 取り組んで効果があった 12.1%

  • 取り組んだが効果がでていない 10.6%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 19.2%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 17.0%

  • 取り組んでおらず、予定もない 29.1%

  • あてはまるものはない/わからない 12.1%

多様な働き方実現

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.1%

多様な働き方実現について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.1%、「取り組んだが効果がでていない」が6.8%となった(図11)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほど多様な働き方実現が進んでいる傾向がみられた。

図11 多様な働き方実現

多様な働き方実現の調査結果
図11:データ
  • 取り組んで効果があった 9.1%

  • 取り組んだが効果がでていない 6.8%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 25.3%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 16.2%

  • 取り組んでおらず、予定もない 28.3%

  • あてはまるものはない/わからない 14.3%

従業員間における業務の平準化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.9%

従業員間における業務の平準化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.9%、「取り組んだが効果がでていない」が15.5%となった(図12)

図12 従業員間における業務の平準化

従業員間における業務の平準化の調査結果
図12:データ
  • 取り組んで効果があった 7.9%

  • 取り組んだが効果がでていない 15.5%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 30.6%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 14.7%

  • 取り組んでおらず、予定もない 20.0%

  • あてはまるものはない/わからない 11.3%

IoT/IT活用による省力・効率化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.0%

IoT/IT活用による省力・効率化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.0%、「取り組んだが効果がでていない」が8.3%となった(図13)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほど IoT/IT活用による省力・効率化が進んでいる傾向がみられた。

図13 IoT/IT活用による省力・効率化

IoT/IT活用による省力・効率化の調査結果
図13:データ
  • 取り組んで効果があった 3.0%

  • 取り組んだが効果がでていない 8.3%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 19.6%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 19.6%

  • 取り組んでおらず、予定もない 32.1%

  • あてはまるものはない/わからない 17.4%

既存設備の更新による省力・効率化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の11.3%

既存設備の更新による省力・効率化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の11.3%、「取り組んだが効果がでていない」が10.9%となった(図14)。

従業員規模別では1000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は20.3%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では2.9%となり、取り組み状況に17.4%の差が開いた。

図14 既存設備の更新による省力・効率化

既存設備の更新による省力・効率化の調査結果
図14:データ
  • 取り組んで効果があった 11.3%

  • 取り組んだが効果がでていない 10.9%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 26.0%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 19.6%

  • 取り組んでおらず、予定もない 19.6%

  • あてはまるものはない/わからない 12.5%

AIによる自動化・省力化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.8%

AIによる自動化・省力化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.8%、「取り組んだが効果がでていない」が5.7%となった(図15)。

従業員規模別では300人~999人で「取り組んで効果があった」が全体と比べやや高くなっている。

図15 AIによる自動化・省力化

AIによる自動化・省力化の調査結果
図15:データ
  • 取り組んで効果があった 3.8%

  • 取り組んだが効果がでていない 5.7%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 15.8%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 16.6%

  • 取り組んでおらず、予定もない 38.9%

  • あてはまるものはない/わからない 19.2%

食品工場の人手の過不足に関する問題・課題について(FA)

人手の過不足に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「求人・採用が難しい」「従業員の高齢化」「繁忙期への対応」「離職率」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。

  • 募集しても集まらない。

  • 閑散期に人手は足りていても繁忙期になるとやや人手不足を感じることがある。

  • 働いている従業員のスキルも低く従業員数も減っているため一人ひとりの業務が増加。

  • ベテラン社員の退職が多く、若手教育の時間も確保できない。

  • 技術後継者がいない為、今後の機械メンテナンスが出来なくなる。

  • 機械化、ペーパーレス化の遅れによる業務膨大。

  • 人手不足ではないが、労働条件がいいわけではないので、いい人材が集まりづらい。

  • 求人を出してもなかなか人が集まらない。工場の立地にも問題がある車がないと通勤が困難である

  • 職場の環境が改善出来ていないので、人材の確保に乏しい。立地などの問題もあり、中々人が集まらない。

  • 製品のライフサイクルが短く、設備投資による省人が難しい。業種人気が無く、選択肢の最後で人が集まらない。

  • 業務内容によって特定の人材でないとできない業務が多い事。

  • 機械化が進まない。人のかかる作業が今だに多い。

  • 省人化が進まない。いつまでも機械化、自動化できない作業が多く、人で溢れている。

  • 労働力が揃っても(外国人労働者の雇用等)、その人たちを指導する側の人材が極端に不足しており、指導できる人への過重労働が深刻。

  • ギリギリの人数で各部門やっているので一人休んでしまうと、他の人にしわ寄せがきてしまう。

  • 年齢構成が高齢化しており、早急に改善する必要がある。

調査結果ダウンロード

本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。

食品工場の人手不足に関する意識調査のイメージ

富士電機では食品製造業・食品工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。

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