食品製造業・食品工場に関する動向調査
食品工場におけるIoTとデータ活用に関する意識調査

可視化・見える化システムの利用が最多、IoTデータの利用で成果ありは79.4%

食品製造業の人手不足・人材不足の問題が深刻化している言われており、富士電機が2023年に実施した「食品工場における人手不足に関する調査」での食品工場の人手不足に関する調査で、 「非常に不足している」と「不足している」の回答は全体の55.6%という結果になりました。

農林水産省では食品製造業の人手不足・人材不足の問題の解決支援にむけ、ロボット、AI(人工知能)、IoT等の先端技術の導入支援を実施しており、食品産業労働生産性向上に向けた技術導入実証事業などが進められております。

農林水産省のサイトによると生産性を向上させ、どのように取り組むかを独力で見つけ出すことは難しいとされている一方で、今回の調査でIoT・データ活用の取組みにより成果があったかどうかという設問では「成果が出ている」との回答は79.4%という結果が得られました。

富士電機の食品工場ソリューションでは、食品工場でのIoTとIoTにより取得されたデータの活用状況を調査するため、食品製造業かつ食品工場に勤務している回答者を対象に、IoT/データ活用に関する取り組み状況、具体的な取組み、データ活用の現状やこれらの問題・課題についてインターネット調査を実施し、「食品工場におけるIoTとデータ活用に関する意識調査」としてまとめました。

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食品工場におけるIoTとデータ活用に関する意識調査結果

調査概要

対象エリア:全国
調査対象者:食品製造業従事者、かつ、事業所形態が食品工場
有効回答数:262人
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年6月28日~6月30日

属性データ

[左:所属部門]

  • 製造・生産 56.3%

  • 生産管理 11.6%

  • 品質管理 10.6%

  • 技術・研究開発 5.8%

  • 保全・点検 4.2%

  • その他 11.6%

[右:従業員規模]

  • 100人未満 28.3%

  • 100人~299人 28.6%

  • 300人~999人 21.9%

  • 1000人以上 21.2%

調査項目

  • 食品工場におけるIoTの活用状況

  • 食品工場でIoTを導入・活用する具体的な目的

  • 食品工場のIoTに関連したシステム等の利用・活用状況

    • 予知保全システム

    • ソフトセンサー

    • AI画像認識・解析システム

    • データ分析基盤・IoTプラットフォーム

    • 遠隔監視・稼働監視システム

    • 品質管理・改善システム

    • 可視化・見える化システム

    • デジタルツイン

    • 異常検知システム

  • IoTを利用・活用していく上での阻害要因

  • IoTで収集・取得したデータの利用・活用状況

  • IoTで収集・取得したデータをどのように利用・活用しているか

  • IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成果の有無

  • IoTで収集・取得したデータの利用・活用による効果

  • 食品工場におけるIoT、データの利用・活用に関する問題・課題

以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。

食品工場におけるIoT/AIの活用状況

「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の17.2%

IoT/AIの活用状況について、「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の17.2%、「今後取り組む予定がある」が13.4%となった(図1)。

図1 IoT/AIの活用状況

IoT/AIの活用状況の調査結果
図1:データ
  • 現在取り組んでいる 17.2%

  • 今後取り組む予定がある 13.4%

  • 必要性は感じているが、取り組んでいない 19.5%

  • 取り組んでない 37.4%

  • わからない 12.6%

食品工場でIoT/AIを導入・活用する具体的な目的

もっとも回答が多かったのは(自動化、機械化の推進)」で62.5%

IoT/AIを導入・活用する具体的な目的について、もっとも回答が多かったのは「生産性の向上(自動化、機械化の推進)」で62.5%、次いで「コスト削減」で48.8%、「品質管理・品質改善」で48.8%の順に続く結果となった(図2)。

図2 IoT/AIを導入・活用する具体的な目的

IoT/AIを導入・活用する具体的な目的の調査結果
図2:データ
  • 生産性の向上(自動化、機械化の推進) 62.5%

  • コスト削減 48.8%

  • 品質管理・品質改善 48.8%

  • データの活用・見える化の推進 45.0%

  • 人手不足・人材不足への対応 40.0%

  • 省エネ・エネルギー利用の最適化 40.0%

  • 設備異常の予測・検出 33.8%

  • 技術・技能伝承 23.8%

  • プロセス制御の高度化 20.0%

  • 新素材・新製品の開発 10.0%

  • その他 0.0%

  • わからない 1.2%

食品工場のIoT/AIに関連したシステム等の利用・活用状況

「活用している」の回答が最も多かったのは「可視化・見える化システム」で55.6%

IoT/AIに関連したシステム等の利用・活用状況について、「活用している」の回答が最も多かったのは「可視化・見える化システム」で55.6%、次いで「品質管理・改善システム」が51.1%、「異常検知システム」が48.9%の順に続く結果となった(図3)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図5 省エネルギー対策に対する具体的な取り組み

食品工場のIoT/AIに関連したシステム等の利用・活用状況の調査結果
図5:データ

[「活用している」との回答比率]

  • 予知保全システム 33.3%

  • ソフトセンサー 28.9%

  • AI画像認識・解析システム 40.0%

  • データ分析基盤・IoTプラットフォーム 28.9%

  • 遠隔監視・稼働監視システム 44.4%

  • 品質管理・改善システム 51.2%

  • 可視化・見える化システム 55.6%

  • デジタルツイン 17.8%

  • 異常検知システム 48.9%

予知保全システム

「活用している」と回答したのは全体の33.3%

予知保全システムについて、「活用している」と回答したのは全体の33.3%、「今後、活用を検討している」が48.9%となった(図4)。

図4 予知保全システム

予知保全システムの調査結果
図4:データ
  • 活用している 33.3%

  • 今後、活用を検討している 48.9%

  • 活用する予定はない 13.3%

  • わからない 4.4%

ソフトセンサー

「活用している」と回答したのは全体の28.9%

ソフトセンサーについて、「活用している」と回答したのは全体の28.9%、「今後、活用を検討している」が46.7%となった(図5)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図5 ソフトセンサー

ソフトセンサーの調査結果
図5:データ
  • 活用している 28.9%

  • 今後、活用を検討している 46.7%

  • 活用する予定はない 11.1%

  • わからない 13.3%

AI画像認識・解析システム

「活用している」と回答したのは全体の40.0%

AI画像認識・解析システムについて、「活用している」と回答したのは全体の40.0%、「今後、活用を検討している」が46.7%となった(図6)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図6 AI画像認識・解析システム

AI画像認識・解析システムの調査結果
図6:データ
  • 活用している 40.0%

  • 今後、活用を検討している 46.7%

  • 活用する予定はない 11.1%

  • わからない 2.2%

データ分析基盤・IoTプラットフォーム

「活用している」と回答したのは全体の28.9%

データ分析基盤・IoTプラットフォームについて、「活用している」と回答したのは全体の28.9%、「今後、活用を検討している」が48.9%となった(図7)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図7 データ分析基盤・IoTプラットフォーム

データ分析基盤・IoTプラットフォームの調査結果
図7:データ
  • 活用している 28.9%

  • 今後、活用を検討している 48.9%

  • 活用する予定はない 8.9%

  • わからない 13.3%

遠隔監視・稼働監視システム

「活用している」と回答したのは全体の44.4%

遠隔監視・稼働監視システムについて、「活用している」と回答したのは全体の44.4%、「今後、活用を検討している」が40.0%となった(図8)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図8 遠隔監視・稼働監視システム

遠隔監視・稼働監視システムの調査結果
図8:データ
  • 活用している 44.4%

  • 今後、活用を検討している 40.0%

  • 活用する予定はない 8.9%

  • わからない 6.7%

品質管理・改善システム

「活用している」と回答したのは全体の51.1%

品質管理・改善システムについて、「活用している」と回答したのは全体の51.2%、「今後、活用を検討している」が40.0%となった(図9)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図9 品質管理・改善システム

品質管理・改善システムの調査結果
図9:データ
  • 活用している 51.2%

  • 今後、活用を検討している 40.0%

  • 活用する予定はない 4.4%

  • わからない 4.4%

可視化・見える化システム

「活用している」と回答したのは全体の55.6%

可視化・見える化システムについて、「活用している」と回答したのは全体の55.6%、「今後、活用を検討している」が35.6%となった(図10)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図10 可視化・見える化システム

可視化・見える化システムの調査結果
図10:データ
  • 活用している 55.6%

  • 今後、活用を検討している 35.6%

  • 活用する予定はない 6.7%

  • わからない 2.2%

デジタルツイン

「活用している」と回答したのは全体の17.8%

デジタルツインについて、「活用している」と回答したのは全体の17.8%、「今後、活用を検討している」が46.7%となった(図11)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図11 デジタルツイン

デジタルツインの調査結果
図11:データ
  • 活用している 17.8%

  • 今後、活用を検討している 46.7%

  • 活用する予定はない 11.1%

  • わからない 24.4%

異常検知システム

「活用している」と回答したのは全体の48.9%

異常検知システムについて、「活用している」と回答したのは全体の48.9%、「今後、活用を検討している」が46.7%となった(図12)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図12 異常検知システム

異常検知システムの調査結果
図12:データ
  • 活用している 48.9%

  • 今後、活用を検討している 46.7%

  • 活用する予定はない 4.4%

  • わからない 0.0%

IoT/AIを利用・活用していく上での阻害要因

もっとも回答が多かったのは「IoT/AIに関する人材不足」で45.0%

IoT/AIを利用・活用していく上での阻害要因について、もっとも回答が多かったのは「IoT/AIに関する人材不足」で45.0%、次いで「IoT/AIを利活用するノウハウが不足」で41.2%、「投資効果が不透明」で36.2%の順に続く結果となった(図13)。

図13 IoT/AIを利用・活用していく上での阻害要因

IoT/AIを利用・活用していく上での阻害要因の調査結果
図13:データ
  • IoT/AIに関する人材不足 45.0%

  • IoT/AIを利活用するノウハウが不足 41.2%

  • 投資効果が不透明 36.2%

  • IoT/AIの適用が困難な作業が多い 33.8%

  • 推進する組織体制が不十分 30.0%

  • 設備投資予算の制約 28.7%

  • セキュリティに関する懸念 25.0%

  • 社員の理解・モチベーションが低い 22.5%

  • テクノロジーのブラックボックス化 12.5%

  • その他 0.0%

  • わからない 0.0%

  • 特にない 0.0%

IoTで収集・取得したデータの利用・活用状況

「積極的に活用している」と回答したのは全体の33.3%

IoTで収集・取得したデータの利用・活用状況について、「積極的に活用している」と回答したのは全体の33.3%、「ある程度活用している」が42.2%となった(図14)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図14 IoTで収集・取得したデータの利用・活用状況

IoTで収集・取得したデータの利用・活用状況の調査結果
図14:データ
  • 積極的に活用している 33.3%

  • ある程度活用している 42.2%

  • まだ活用していないが、今後活用を検討している 13.3%

  • 必要性は感じているが、活用していない 6.7%

  • 活用する予定はない 2.2%

  • わからない 2.2%

IoTで収集・取得したデータをどのように利用・活用しているか

もっとも回答が多かったのは「データの収集・蓄積」で73.5%

IoTで収集・取得したデータをどのように利用・活用しているかについて、もっとも回答が多かったのは「データの収集・蓄積」で73.5%、次いで「データの見える化(状況の把握)」で64.7%、「データの傾向分析や関係性の把握」で55.9%の順に続く結果となった(図15)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図15 IoTで収集・取得したデータをどのように利用・活用しているか

IoTで収集・取得したデータをどのように利用・活用しているかの調査結果'
図15:データ
  • データの収集・蓄積 73.5%

  • データの見える化(状況の把握) 64.7%

  • データの傾向分析や関係性の把握 55.9%

  • データを活用した予測・シミュレーション 41.2%

  • データを活用した業務・制御等の自動化 41.2%

  • その他 2.9%

  • わからない 0.0%

IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成果の有無

「成果が出ている」と回答したのは全体の79.4%

IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成果の有無について、「成果が出ている」と回答したのは全体の79.4%、「成果がでていない」が11.8%となった(図16)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図16 IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成果の有無

IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成果の有無の調査結果
図16:データ
  • 成果が出ている 79.4%

  • 成果がでていない 11.8%

  • わからない 8.8%

IoTで収集・取得したデータの利用・活用による効果

もっとも回答が多かったのは「業務の改善・効率化」で74.1%

IoTで収集・取得したデータの利用・活用による効果について、もっとも回答が多かったのは「業務の改善・効率化」で74.1%、次いで「製品品質の向上」で55.6%、「不良品率の低減」で51.9%の順に続く結果となった(図17)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図17 IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成功要因

IoTで収集・取得したデータの利用・活用の成功要因の調査結果'
図17:データ
  • 業務の改善・効率化 74.1%

  • 製品品質の向上 55.6%

  • 不良品率の低減 51.9%

  • 労働生産性の向上 51.9%

  • 人手不足の解消 40.7%

  • 資材・在庫の最適化 33.3%

  • 競争力の強化 25.9%

  • 意思決定のスピード化 25.9%

  • 顧客満足度の向上 14.8%

  • 新製品の開発 11.1%

  • 防災・安全対策 11.1%

  • その他 7.4%

食品工場におけるIoT、データの利用・活用に関する問題・課題について(FA)

食品工場におけるIoT、データの利用・活用に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「予算の確保」「人材不足」「活用する側の人材育成」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。

  • 何から手をつけていいかわからなくて困っている。

  • 扱える人材が不足している。

  • システム担当止まりで他部署に回って来ていない。

  • 社員研究による知識と技術と時間、商品開発の実施。

  • IoTを扱う人材の不足。

  • 製造業の為、人手がかかるがどのように活用できるかの検証をしたい。

  • データ収集まで進めているが、製造現場での自主的な活用に至っていない。

  • 人材不足が課題である。

  • 活用できる人材育成。

  • 活用の仕方の標準化が必要。

  • 知識不足による、活用力の低さ。

  • 社員教育が追いついていない。

  • 全社的に活用を浸透させるのが難しい環境。

  • 費用対効果が分かりにくい。投資額が大きすぎる。

  • 活用推進する人材の確保、育成と予算の設定が重要となっている。

調査結果ダウンロード

本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。

食品工場におけるIoTとデータ活用に関する意識調査のイメージ"

富士電機では食品製造業・食品工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。

[2023年調査]

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[2021年調査]