食品製造業・食品工場に関する動向調査
食品工場のペーパレス化に関する実態調査
食品工場のペーパレス化、課題は「ペーパレス化できない紙・書類が多い」
食品製造業では働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業は多くあります。これら取り組みの一環として、実施されているのがペーパレス化です。
企業ごとに取り組む目的や、範囲は異なりますが、ペーパレス化を推進することは、生産性向上に効果があると考えられています。
例えば記録業務を紙で行った場合、便利な面もある一方で、手書きであるためのデメリットもすくなくなく、結果として生産性向上の妨げ になってしまう場合があるからです。
これに加え、IoT(モノのインターネット)によるデータ活用の推進や、労働人口の減少による 技能・技術伝承への取り組みなど、ペーパレス化に取り組むことでできることが複数あることも背景にあります。
今回、富士電機の食品工場ソリューションサイトでは独自に食品製造業におけるペーパレス化に関する調査を実施しました。
食品製造業で工場勤務の回答者を対象に、ペーパレス化の取り組み状況、問題・課題、今後の取り組みなどについての インターネットによるアンケート調査を実施し、「食品工場のペーパレス化に関する実態調査」としてまとめました。
食品工場のペーパレス化に関する実態調査概要
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対象エリア
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全国
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調査対象者
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工場勤務の食品製造業従事者
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有効回答数
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457人
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調査方法
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インターネット調査
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調査期間
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2022年2月24日~2月28日
[左:回答者の役職]
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経営層・役員クラス 2.2%
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部長クラス 10.5%
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課長クラス 27.6%
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係長・主任クラス 59.7%
[右:従業員規模]
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100人未満 28.4%
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100人~499人 36.3%
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500人~999人 11.2%
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1000人~4999人 16.0%
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5000人以上 8.1%ない 8.6%
調査項目
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ペーパレス化への取り組み状況
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ペーパレス化に取り組む目的
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ペーパレス化を推進していく上での問題・課題
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今後のペーパレス化への取り組み
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ペーパレス化に関する問題・課題について(FA)
以下、調査の内容を抜粋してご紹介いたします。
食品工場のペーパレス化に関する実態調査の結果
ペーパレス化への取り組み状況
ペーパレス化への取り組み状況について「取り組みが進んでいる」と回答したのは全体の10.5%、「取り組んでおり、ある程度進んでいる」が21.4%となった(図1)。
一方で、「取り組んでいるが、あまり進んでいない」が40.0%、「取り組んでいない」の回答は全体の23.6%となった。
従業員数が多くなるほど「ペーパレス化」への取り組み状況が進んでいる傾向がみられた。
従業員規模別では、100人未満で「取り組んでいない」が目立って高くなっている。
図1 ペーパレス化への取り組み状況
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取り組みが進んでいる 10.5%
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取り組んでおり、ある程度進んでいる 21.4%
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取り組んでいるが、あまり進んでいない 40.0%
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取り組んでいない 23.6%
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わからない 4.4%
ペーパレス化に取り組む目的
ペーパレス化に取り組む目的についてもっとも回答が多かったのは「経費・コストの削減」で71.4%、次いで「紙・書類の保管スペースの削減」で57.1%、「データの活用・見える化」で44.1%の順に続く結果になった(図2)。
従業員規模別では500人~999人では「データの活用・見える化」の回答は42.5%という結果になった。一方、従業員規模5000人以上では58.8%となり、取り組み状況に16.3%の差が開いた。
図2 ペーパレス化に取り組む目的
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経費・コストの削減 71.4%
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紙・書類の保管スペースの削減 57.1%
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データの活用・見える化 44.1%
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生産性の向上 41.6%
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環境負荷の低減 38.3%
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S・DGsの取り組みの一環 34.3%
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働き方改革の推進 24.6%
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情報セキュリティの向上 16.4%
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企業ブランドやイメージの向上 7.3%
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納期/リードタイムの短縮 6.4%
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その他 0.9%
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わからない 0.9%
ペーパレス化を推進していく上での問題・課題
ペーパレス化に向けた取り組みを推進していく上での問題・課題について、もっとも回答が多かったのは「ペーパレス化できない紙・書類が多い」で48.6%、次いで「社内の捺印・ハンコ文化」で34.3%、「知識・ノウハウの不足」で31.0%の順に続く結果になった(図3)。
従業員規模別の集計では「ペーパレス化できない紙・書類が多い」が最も多かったのは1000人~4999人の回答で60.3%、最も少なかったのは5000人以上で回答は26.5%となった。
図3 ペーパレス化を推進していく上での問題・課題
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ペーパレス化できない紙・書類が多い 48.6%
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社内の捺印・ハンコ文化 34.3%
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知識・ノウハウの不足 31.0%
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推進できる組織・体制不足 27.7%
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社員のITリテラシー不足 27.1%
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情報セキュリティ対策 20.1%
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費用対効果の明確化 19.8%
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必要な予算の確保 16.7%
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取引先の理解 8.5%
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特にない 2.7%
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わからない 2.4%
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その他 1.5%
予知保全によるコスト削減・IoT活用事例。予防保全から予知保全へ保全方式を切り替えることで、メンテナンスコストの低減やいままで対応が難しかった異常値の検知ができるようになります。
今後のペーパレス化への取り組み
今後のペーパレス化への取り組みについて「そう思う」と回答したのは全体の23.1%、「ややそう思う」が47.1%、「どちらともいえない」が22.5%となった(図4)。
従業員数が多くなるほど今後の「ペーパレス化」への取り組みが進んでいる傾向がみられた。
従業員規模別の集計では「そう思う」が最も多かったのは5000人以上の回答で41.2%、最も少なかったのは100人~499人で回答は16.8%となった。
図4 今後のペーパレス化への取り組み
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そう思う 23.1%
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ややそう思う 47.1%
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どちらともいえない 22.5%
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あまりそう思わない 6.1%
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まったくそう思わない 1.2%
ペーパレス化に関する問題・課題について(FA)
ペーパレス化に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「タブレットなのデバイスの活用」「紙の確認のしやすさ」「電子化できない書類」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。
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製造現場で紙のチェック用紙が手放せない。
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製造に必要な帳票類はどうしも紙ベースで記録を残す必要があり、なかなか電子帳票にできない。
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工場での作業時に必要な記入用紙、書類があるので、簡素化し最低限にできればと思います。
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ペーパレスにする事で見にくくなる書類、図面がある。
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必要な書類や契約文書まで、どの範囲で取り組むのか判断が難しい。
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ペーパーで出さないと確認しづらい資料がある。
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手書きで記録しなければいけない記録簿が多い。
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製造に必要な帳票類は紙ベースでの保管期間が決まっており、なかなかペーパーレス化しない。
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ペーパーレス化に向けた取り組みに関する課題として、上層部の紙文化があり、なかなか紙文化をなくすことができないでいる。
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契約書の取り交わしは押印ばかりではあるが、契約相手の決まりがあるので、それに従うしかない。手間がかかるが仕方がない。
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取引先からの発注がFAXで入ってくるので、すぐにペーパレスは難しい。
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システム習熟のための要員や時間の確保が難しい。
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デスクとパソコンがある従業員はペーパーレスでも大丈夫だが、それを持たない作業員にはなかなか浸透させられない。
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自部署や自社だけでペーパーレスにできない書類が多い。
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すぐ確認しなくてはいけないデータはペーパーレス化しにくい。
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様々な人が書類に目を通さなければいけないけれども、現場なのでタブレット等の機械を持ち込むことが出来ない。
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高齢者もいて、タブレットなどを扱うことができない。
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温度管理表、原材料受入日報、作業日報など全て紙で行っているため、保管用の書庫の整理、スペース確保など無駄が多い。
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タブレットが導入されていないので頭打ちの状態である。
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Wi-Fi環境やタブレット端末の準備に費用がかかったり、昨今の半導体不足により、納期の遅れなどがあり、全社ペーパーレス化にするには時間がかかる。
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年齢が高い方はタブレットなどの使用方法が分からず、入力に時間がかかることが予想され、また操作方法などを覚えるのも大変であり、苦戦すると予想される。
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ペーパーレスにする為にはペーパーに変わるタブレットやパソコン、その他端末が必要になってくるが、それが圧倒的に不足している。
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ファックスや紙の給料明細が使われている親会社の連携するには紙が必要でそれを変えていくのにはいくつもの壁がある。
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詳細な変更履歴が残りにくいため、どうしても紙ベースの情報に頼る。
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ハンディータイプの端末での操作性や耐久性、データのやり取りのスムーズさやセキュリティなど、問題が山積みだが、解決して取り入れなければ、今後の成長は見込めない。
調査結果ダウンロード
本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。
(ファイル形式:PDF、1.24 MB)
富士電機では食品製造業・食品工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。
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