食品製造業・食品工場に関する動向調査
食品製造業における人手不足の実態調査
食品製造業の人手不足対策、取組み上位は「業務フロー・プロセス改善見直し」
食品製造業・食品工場現場では、熟練作業者の高齢化による退職や労働人口減による労働力の不足、コロナ禍による影響などにより人手不足が深刻化していると言われています。
食品製造業に限らず、製造業では働き方改革、自動化やデジタル化の推進など、近年さまざまな取り組みが行われていますが、実際にどのような施策が行われているのでしょうか。
富士電機では食品製造業に勤務する方を対象に、人手不足に関する実態・対応動向を調査すべく 「食品製造業における人手不足の実態調査」を実施しました。
食品製造業における人手不足の実態調査概要
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対象エリア
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全国
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調査対象者
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食品製造業従事者
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回答者属性
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役職・従業員規模
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有効回答数
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206人
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調査方法
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インターネット調査
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調査期間
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2021年6月25日~6月27日
調査項目
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食品製造業の人手不足状況
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食品製造業で人手が不足している理由
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食品製造業の人手不足が業務及ぼす影響の有無
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食品製造業の人手不足への対応方法・取り組み状況について
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多様な人材の活用
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教育訓練・能力開発の強化
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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業務の外部委託(アウトソーシング)
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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多様な働き方実現
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従業員間における業務の平準化
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IoT/IT活用による省力・効率化
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既存設備の更新による省力・効率化
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他企業との協働見える化/見せる化の手段・方法
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食品製造業の人手の過不足に関する問題・課題について(FA)
以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。
食品製造業・食品工場に関する動向調査の結果
食品製造業の人手不足の状況
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人手不足の状況について「非常に不足している」と回答したのは全体の10.2%、「不足している」が31.1%、「やや不足している」が34.5%となった。一方で、「特に不足していない」の回答は全体の22.8%となった(図1)。
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従業員規模別の集計では「非常に不足している」が最も多かったのは100人~499人の回答で5.4%、最も少なかったのは100人~499人で回答は5.4%となった。
図1 食品製造業の人手不足の状況
食品製造業で人手が不足している理由
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人手が不足している理由について、もっとも回答が多かったのは「離職率が高い」で42.3%,次いで「退職による欠員」で37.8%、「採用数の不足」で32.7%の順に続く結果になった(図2) 。
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従業員規模1000人以上では「人材獲得競争の激化」の回答は27.0%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では3.9%となり、取り組み状況に23.1%の差が開いた。
図2 食品製造業で人手が不足している理由
食品製造業の人手不足が業務及ぼす影響
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人手不足が業務に与える影響度について「深刻な影響がある」と回答したのは全体の9.6%、「影響がある」が52.6%、「今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される」が35.3%となった。一方で、 「影響はない」の回答は全体の2.6%となった
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従業員規模別では従業員数が少なるなるほど人手不足が業務に与える影響度が高くなる傾向がみられた。従業員規1000人以上では「深刻な影響がある」の回答は5.4%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では17.6%となり、取り組み状況に12.2%の差が開いた。
図3 食品製造業の人手不足が業務及ぼす影響
食品製造業の人手不足が業務に与えている影響
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人手不足が業務に与えている影響(懸念される影響)について、もっとも回答が多かったのは「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」で50.7%,次いで「職場の雰囲気の悪化」で37.5%、「技術・ノウハウの伝承が困難」で32.9%の順に続く結果になった(図4) 。
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従業員規模別の集計では「技術・ノウハウの伝承が困難」が最も多かったのは500人~999人の回答で50.0%、最も少なかったのは100人未満で回答は24.5%となった。
図4 食品製造業の人手不足が業務に与えている影響
遠隔作業支援パッケージ FWOSP-Glass。遠隔地の現場状況をリアルタイムで把握し、作業指示を支援します。食品工場の点検・保全作業の人材不足の解消、管理工数の削減、設備故障からの復旧時間の短縮などの課題を解決します。
食品製造業の人手不足への対応・取り組み状況
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食品製造業の人手不足への対応方法・取り組み状況について、「業務フロー業務プロセスの改善見直し」の回答が最も多く60.3%、次いで「教育訓練能力開発の強化」が57.7%、「多様な人材活用」 「従業員間における業務の平準化」が44.9%となった。(図5)。
図5 食品製造業の人手不足への対応・取り組み状況
多様な人材の活用
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多様な人材の活用について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.6%となった(図6)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が14.1%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が21.2%となった
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは100人~499人の回答で14.3%となった。
図6 多様な人材の活用
教育訓練・能力開発の強化
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教育訓練・能力開発の強化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.9%となった(図7)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が12.8%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が34.0%となった。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは100人~499人の回答で16.1%となった。
図7 教育訓練・能力開発の強化
業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
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業務フロー・業務プロセスの改善・見直しについて「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.6%となった(図8)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が12.8%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が37.8%となった。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは100人未満の回答で11.8%となった。
図8 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し
業務の外部委託(アウトソーシング)
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業務の外部委託(アウトソーシング)について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の12.8%となった(図9)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が7.1%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が18.6%となった。
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従業員規模別では従業員数が多くなるほど業務の外部委託(アウトソーシング)が進んでいる傾向がみられた。従業員規模1000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は21.6%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では5.9%となり、取り組み状況に15.7%の差が開いた。
図9 業務の外部委託(アウトソーシング)
ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
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ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の16.0%となった(図10)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が6.4%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が16.7%となった。
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従業員規模別では従業員数が多くなるほどロボット・自動機等の活用による自動化・省力化が進んでいる傾向がみられた。従業員規模1000人以上では「取り組んで効果があった」の回答は21.6%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では7.8%となり、取り組み状況に13.8%の差が開いた。
図10 ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化
回転機故障予兆監視システム Wiserot。回転機の故障原因の64%をカバー可能。既存の設備に取付が容易で、食品工場の電動機・ポンプ・ファン等の回転機の故障を防ぎ、製造ライン停止による機会損失を低減します。
多様な働き方実現
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多様な働き方実現について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の4.5%となった(図11)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が5.1%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が23.7%となった。
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従業員規模別では、特に大きな差はみられなかった。
図11 多様な働き方実現
従業員間における業務の平準化
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従業員間における業務の平準化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の8.3%となった(図12)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が10.3%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が25.0%となった。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは100人~499人の回答で14.3%となった。
図12 従業員間における業務の平準化
IoT/IT活用による省力・効率化
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IoT/IT活用による省力・効率化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の5.8%となった(図13)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が3.8%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が22.4%となった。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは1000人以上の回答で13.5%となった。
図13 IoT/IT活用による省力・効率化
予知保全によるコスト削減・IoT活用事例。予防保全から予知保全へ保全方式を切り替えることで、メンテナンスコストの低減やいままで対応が難しかった異常値の検知ができるようになります。
既存設備の更新による省力・効率化
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既存設備の更新による省力・効率化について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.9%となった(図14)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が5.8%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が28.2%となった。
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従業員規模別の集計では「取り組んで効果があった」が最も多かったのは1000人以上の回答で18.9%、最も少なかったのは100人未満で回答は5.9%となった。
図14 既存設備の更新による省力・効率化
他企業との協働
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他企業との協働について「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の2.6%となった(図15)。一方で、「取り組んだが効果がでていない」が2.6%、「取り組んでいるが、効果はまだわからない」が15.4%となった。
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従業員規模別では、特に大きな差はみられなかった。
図15 他企業との協働
食品製造業の人手の過不足に関する問題・課題について(FA)
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人手の過不足に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「少量多品種生産への対応」「採用の難しさ」「人材育成」「技能伝承」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。
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少量多品種生産で生産性が悪い
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生産に余裕のある設備状況でないため、設備にトラブルが発生すると出荷に影響が出る
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メンテナンス出来る人材がいない、自分が引退したあとどうするのかわからない
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人手不足による作業の掛け持ちの増加
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高齢化が進んでおり、労働災害が多発している
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景気が良くなっているせいか、募集をかけてもなかなか人が集まらない現象が続いている
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50代のベテランと30代の中堅、若手との間が離職による人員のエアポケットがある
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働き手の高齢化、それに対する自動化省力化技術導入遅れ
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現場担当者と管理者との意見統一がなかなか図れない
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商品が季節で左右されるので、繁忙期前の人材補充が課題
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人材の採用、育成作業工程の見直し、他部署間との協力
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若手社員の離職が多いため、次世代を担う人材の不足
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コロナで仕事が減ったのてむしろ、人の余剰が多い
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従業員の高齢化が進んでいて需要と供給のバランスが悪い
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製造数を予測し、人員シフトを作成するので、人員が必要な時、不要な時の人員数に乖離が出る
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会社が次々に新製品をだそうとするため現場がついていけていない
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調査結果ダウンロード
本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。
富士電機では食品製造業・食品工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。
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