富士電機株式会社

セグメント別概況

パワエレ インダストリー

東南アジアやインドを中心に、
パートナー戦略を推進し、
地設・地産・地消体制の強化により、
海外事業拡大を加速します。

執行役員常務
パワエレ インダストリー事業本部長
鉄谷 裕司

写真:鉄谷 裕司
事業内容

【オートメーション】
インバータ、モータ、サーボシステム、コントローラ、プログラマブル表示器、計測機器、センサ、FAシステム、駆動制御システム、計測制御システム

【社会ソリューション】
鉄道車両用駆動システム・ドアシステム、船舶用排ガス浄化システム、放射線機器・システム

【設備工事】電気工事、空調設備工事

【ITソリューション】ICTに関わる機器・ソフトウェア

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主な向け先

空調・水処理設備、機械セットメーカー、素材プラント(鉄鋼、化学など)、鉄道会社、造船会社、官公庁・自治体

強み
  • パワー半導体を搭載したパワエレ機器の早期開発
  • 顧客用途に応じた幅広い製品ラインナップ
  • 豊富な納入実績により蓄積したエンジニアリング力

市場に対する課題認識と事業機会

国内産業分野では、脱炭素化に係る環境対策需要の高まり、労働力不足、働き方改革といったニーズから、製造現場などで自動化、省力化、遠隔制御などが今後一層推し進められることが期待されます。当社の注力分野の一つである鉄鋼、化学などの素材分野では、最適生産体制の構築、競争力強化に向けた設備新鋭化、老朽化設備の更新、脱炭素化に向けた省エネ・CO2排出抑制投資などは継続すると見込んでいます。また、保守人材の高齢化・人材不足などにより、保全業務のノウハウの継承や負荷低減が課題となっています。

中長期的に経済成長が期待される東南アジア、インドでは、電力不足による設備の省エネ、生産効率向上を目指した自動化が進み、鉄鋼・セメントなどの素材分野では、新規設備投資や更新需要などが見込まれています。

中国では、政府の「新型インフラ」プロジェクトのもと、工場の自動化・省力化、環境対策による省エネ投資が期待されています。

2020年度業績・2021年度事業計画

2020年度は、文教向けGIGAスクール構想の大口特需案件を主因とし、中国・インド向けサーボシステムなどのコンポーネントやスクラバをはじめとする船舶交通システムの需要増などにより、対前年度284億円増加の3,459億円となりました。営業利益は、物量増および機種構成差などにより、52億円増加の218億円となりました。

2021年度は、中国をはじめ国内外での低圧インバータなどのコンポーネントや設備工事案件の需要増を見込むものの、前年度特需のGIGAスクール案件の減少などにより、対前年度169億円減少の3,290億円を計画しています。営業利益は、物量減による影響を受けるものの、コンポーネントの物量増・事業体質の強化などにより、4億円増加の222億円を計画しています。

グラフ:売上高 2021年度経営計画 3,290億円
グラフ:営業利益 2021年度経営計画 222億円、営業利益率6.7%

重点施策

パートナー戦略による海外事業の拡大

中国では、パートナーである上海電気の商流を活用し、電力、ガス、水道などの公共設備・インフラ設備向けポンプなどに高圧インバータを拡販してきました。

2021年度からは、セメント・化学プラントを主体とした製造設備にターゲットを拡大し、高圧インバータに上海電気の電動機(モータ)を組み合わせたシステムを展開します。

東南アジアでは、域内完結型事業体制の構築を目指し、2016年に買収した富士CAC社(FCAC社)とのパートナー戦略を強化しています。特にベトナムにおいては、富士電機ベトナム社の営業力とFCAC社のエンジニアリング力を生かした両社一体のプラントビジネス拡販体制を確立し、セメント・ごみ処理プラントに加え、港湾クレーン、食品・飲料プラント向けにシステム事業の拡大を図ります。インドでは、2019年に買収した富士電機コンスルネオワット社(FCN社)の商流を活用し、紡績などの組立機械、病院などのヘルスケア向けにインバータ、サーボシステム、無停電電源装置などを拡販してきました。2021年度は、FCN社と富士電機インド社の合併により経営・商流を完全統合するとともに、インバータなどパワエレ機器の地設(現地設計)機能の強化と現地調達・製造体制の整備により競争力を高めます。富士GEMCO社の盤生産・エンジニアリングを強化し、鉄鋼・クレーン向けなどのシステム商談に取り組みます。

北米では、富士SEMEC社と連携し、鉄道車両事業拡大に向け、ドアの大量生産に向けたものつくり体制、エンジニアリング体制の更なる強化を図っていきます。

FA関連コンポーネント事業の体質強化

強いシステムを創出するため、コンポーネントの競争力向上・体質強化に取り組み、収益性の改善を目指しています。2020年度は、低圧インバータ(N-MEGA)を中心にパワエレ機器の構成部品の共通化(プラットフォーム化)を推進し、部品点数削減による調達・生産コストの低減、海外拠点でのカスタマイズ・ノックダウン生産の容易化を図ってきました。2021年度は、プラットフォーム化した製品をグローバル展開し、効果を抽出するとともに、サーボ、計測機器などのパワエレ機器でプラットフォーム化の適用を拡大します。

写真:プラットフォーム化(構成部品の共通化)を初めて活用した低圧インバータ「N-MEGAシリーズ」(2021年3月発売)
プラント事業の拡大とAI・IoTを活用したサービス

これまでは、駆動制御、計測制御、工業電熱などの製品・技術、ノウハウを核に国内の鉄鋼・鋳造、ごみ・窯業顧客の設備に対し、丸ごと提案を推進してきましたが、顧客の生産ラインとシステムが複雑化していることが課題となっていました。2021年度は、東京工場にプラントシステム棟を建設し、この複雑化した顧客システムの検証用設備を整備し、エンジニアリング品質の向上を図ります。

設備の老朽化、保守人材の高齢化・人材不足などの課題を多く抱える製造業の工場・生産設備には、AI・IoT技術を活用し、保全計画立案から設備の監視、保全管理策の提案まで、設備保全の最適化を実現する「丸ごとスマート保安サービス」を提供し、物量拡大を図ります。さらに国内での実績、ノウハウをもとに、海外にも展開し、プラントビジネスの拡大につなげていきます。

2021年度経営計画説明会および事業戦略説明会の説明内容、質疑要旨についてはこちら