富士電機株式会社

2020年度・2021年度概況

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響などにより対前年度減収となるも、原価低減、固定費削減などを進め増益となりました。2021年度は、世界経済は徐々に回復が期待され、グリーン化、デジタル化の動きが加速するなか、増収増益を目指します。

(億円) 2019年度実績 2020年度実績 2021年度経営計画
売上高 9,006 8,759 9,000
営業利益 425 486 600
営業利益率 4.7% 5.5% 6.7%
親会社株主に帰属する当期純利益 288 419 420

財務指標

ネットD/Eレシオ 0.4倍 0.3倍 0.4倍
自己資本比率 37% 40% 42%
ROA
(総資産利益率)
3% 4% 4%
ROE
(自己資本利益率)
8% 11% 10%
配当性向 40% 29%
表:セグメント別売上高 2021年度経営計画 9000億円
表:セグメント別営業利益 2021年度経営計画 600億円
表:海外売上高 2021年度経営計画 2,445億円

2020年度業績

売上高は、パワエレシステム インダストリーおよび半導体の需要増加があったものの、発電プラントの前年度大口案件の影響および食品流通の大幅な需要減少を主因に、対前年度247億円減少の8,759億円となりました。

海外売上高は、アジア他はパワエレシステム エネルギーおよび発電プラントにおける前年度大口案件の影響により減収となりましたが、中国は半導体やオートメーション、器具を中心に需要が回復し増収となりました。これらを主因に海外売上高は10億円増加の2,219億円となりました。

営業利益は、売上高が減少したものの、全社で推進した原価低減、固定費削減などにより、61億円増加の486億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、パワー半導体の一部製品の不具合対策費用として257億円を特別損失に計上した一方、成長投資資金の確保に向け投資有価証券の一部を売却し、409億円を特別利益に計上したことなどにより、131億円増加の419億円となり、過去最高益となりました。

利益の向上によりROEは11%と対前年度3pt増加しました。剰余金の配当は、安定継続配当を基本方針とし、対前年度5円増の年間85円となり、配当性向は29%となりました。

2021年度経営計画

売上高は、ITソリューションの前年度大口案件影響を主因にパワエレシステム インダストリーは減収になるものの、パワエレシステム エネルギー、半導体、発電プラントの需要増加、食品流通における市場シェアアップおよび新商材投入による売上拡大により、対前年度241億円増加の9,000億円を目指します。

海外売上高は、更なる再生可能エネルギー需要の拡大および省エネ、自動化、自動車の電動化のニーズの高まりが見込まれるアジアにおいて、パワエレシステム エネルギー、半導体、発電プラントを中心に売上高を伸ばし、226億円増加の2,445億円を計画しています。

営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた食品流通において、2020年度に実施した開発体制の見直し、人員の最適化などの事業構造改革の効果を抽出するとともに、半導体における物量・生産増により114億円増加の600億円を目指します。親会社株主に帰属する当期純利益は1億円増加の420億円と、過去最高益を更新する計画です。

主な取り組み

パワエレシステム事業の拡大

強いコンポーネントの創出とシステム事業の強化に取り組むとともに、海外事業拡大に向け、東南アジア、インド、中国を中心とした地産地消の推進、現地設計・エンジニアリングの強化に取り組んでいます。

電気設備丸ごとビジネスの拡大

市場伸長が期待されるデータセンター、半導体関連向けをターゲットに国内外で電気設備丸ごと受注を推進しています。とりわけ、データセンター向けには競争力ある大容量無停電電源装置(UPS)の提案により市場シェア拡大を図っています。グローバルでの売上拡大に向け、丸ごと提案ができるエンジニアの人員増強を図るとともに、生産性の更なる向上に向け、工場での標準化、内製化を推進します。

東南アジア、インドを中心とした海外事業拡大

東南アジアでは、富士電機マニュファクチャリング(タイランド)社(FMT社)に盤システム工場およびエンジニアリングセンターを新設し、現地でのエンジニアリング、ものつくり体制を強化しています。電力インフラや素材プラント、データセンター向けに、変圧器、開閉装置のグローバル新製品や大容量UPSを展開するとともに、FMT社エンジニアリングセンターを中核としてシステム案件の受注拡大に取り組みます。また、ベトナムでは、M&Aにより設立した富士CAC社と富士電機ベトナム社の一体運営によりプラントビジネスの体制強化を図ります。

インドでは、M&Aにより設立した富士電機コンスルネオワット社(FCN社)の製造・販売・サービス拠点を活用し、売上拡大を図っています。今年度、富士電機インド社とFCN社を統合し、事業体制の更なる強化を図るとともに、データセンター向け中大容量UPSの新機種および太陽光発電市場向けパワーコンディショナの開発・生産を推し進めます。

パワー半導体事業の拡大

市場伸長が著しい電動車分野をはじめ、再生可能エネルギー分野、FA分野、エアコン向けに、搭載機器の省エネ、小型・軽量化に貢献するIGBTを柱として受注・売上を拡大し、生産能力増強投資を継続して実施しています。

設備投資・研究開発

パワエレシステム、半導体の両事業に、設備投資の約9割、研究開発費の約8割を投資しています。

グラフ:設備投資額 2021年度経営計画 617億円
グラフ:研究開発費 2021年度経営計画 364億円
設備投資・研究開発の主な内容
設備投資 研究開発
パワエレシステム 2020年度

FMT社)盤システム工場、エンジニアリングセンター建設
千葉工場)エンジニアリングセンター建設

グローバル商材(変圧器、開閉装置、大容量UPS)
モビリティ分野向け商材(鉄道車両電機品、船舶システム)

2021年度

東京工場)プラントシステム棟の建設
インド)工場拡張、生産機種拡大

半導体 2020年度

山梨工場)8インチウエハ生産能力増強
車載用圧力センサ、再生可能エネルギー向けIGBTモジュールの生産能力増強

電動車向けIGBT
SiCモジュール
産業向け第8世代IGBT

2021年度

松本・津軽工場)8インチウエハ生産能力増強
電動車、再生可能エネルギー向けIGBTモジュールの生産能力増強

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