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蒸気ボイラーの省エネ事例を知りたい
食品工場の蒸気は多くの工程で使われる一方、供給過多や待機運転、放熱・ドレン損失などでロスが出やすい領域です。省エネに取り組むことで、燃料費(エネルギーコスト)と CO2 排出量の削減が期待できます。
蒸気ボイラーの省エネ事例は、大きく「見える化(計測)」「運用改善」「排熱回収・再利用」の3つに整理でき、必要に応じて熱収支分析でロス要因を特定します。導入効果は「蒸気利用の現状」と「回収できる排熱」で大きく変わるため、まずは計測・分析で現状を見える化し、費用対効果の高い順に対策を検討します。

【目次】
蒸気ボイラーの省エネに取り組むメリット
食品工場における蒸気ボイラーの省エネは、単なる燃料費削減にとどまらず、脱炭素経営の加速や設備投資の予実管理精度向上など、多面的なメリットをもたらします。
・燃料費(エネルギーコスト)の削減
ボイラー負荷を適正化し、焚き過ぎや待機運転を減らすだけでも効果が出やすいです。さらに排温水・ドレンの熱を再利用できれば、燃料投入そのものを抑えられ、エネルギーコストの削減につながります。
・CO2排出量の削減
燃料使用量の削減は、そのままCO2排出量の削減につながります。加えて、排熱回収や高効率な熱源への置き換えなどに取り組むことで、削減幅を大きくしやすく、工場の脱炭素化にも寄与します。
・省エネ対策の推進
蒸気の使用量やロス、排熱量を数値で把握できるようになると、省エネ対策の優先順位が明確になります。結果として、費用対効果の見通しを立てやすくなり、設備更新・省エネ投資がしやすくなり、生産性の向上が期待できます。
蒸気ボイラーの省エネに関する事例一覧
排熱利用ヒートポンプによるボイラーの焚き減らし
食品製造業における排熱利用の事例。従来は、蒸気を使用した製造工程から出る排温水のほとんどを排水として処理していました。今回、蒸気発生ヒートポンプを導入し、排熱を製造プロセスに再利用する仕組みを構築。ガスボイラーの燃料使用量とCO2排出量の削減を実現しました。
生産工程で排出される温水を活用したCO2排出量の削減
蒸気発生ヒートポンプの提案事例。食品製造業A社では、生産工程で使用された温水の高効率利用に課題があり、熱交換による再利用可能量と設備にかかるランニングコストや、費用対効果を把握する必要がありました。蒸気発生ヒートポンプを活用した熱の高効率利用を提案、試算の結果、排温水の活用でエネルギーコストが60%削減、CO2排出量が55%削減できることがわかりました。
蒸気エネルギー可視化によるボイラー設備の最適稼働
クランプオン式超音波流量計による蒸気のエネルギーの見える化事例。ボイラー設備の省エネ対策立案を目的に、蒸気流量を測定。約2週間測定した結果、夜間や休日でも蒸気が流れていること、休日の特定時間帯に蒸気の大量消費があることが分かり、ボイラーの稼働条件を見直すことができました。
熱収支分析による排熱回収利用・設備の省エネ対策
殺菌設備における蒸気の熱収支分析事例。蒸気の熱収支を分析した結果、製品出口温度の上昇、排温水からのフラッシュ蒸気発生、停止中の蒸気入熱があることが分かりました。分析を通じて、廃温水の排熱回収・利用ができることが判明、工場の省エネルギー取り組みが可能になりました。
ヒートポンプによる省エネルギー対策
蒸気ボイラーの省エネにおける3つの課題
食品工場の蒸気設備は複数の工程で共用されることが多く、どの工程でどれだけ蒸気を使っているのか、必要な消費とムダ(ロス)を切り分けにくい傾向があります。まずは計測と分析で現状を見える化し、費用対効果の高いものから順に対策できる状態をつくることが重要です。
・蒸気使用量の「見える化」不足
蒸気流量を測っていない、または工程別に把握できていないと、夜間・休日の流れっぱなしや、特定時間帯の急増などの異常に気づきにくくなります。結果として、蒸気ボイラーの運転条件を見直す根拠が持てず、改善が担当者の経験に依存しやすくなります。
・排熱(排温水・ドレン等)の未活用
排温水・ドレン等から熱回収の可能性や回収量の見込み、ランニングコストまで含めた評価が不十分なままになっていることがあります。熱回収できれば蒸気ボイラーの燃料使用量を減らすことが可能になります。
・熱収支・ロス要因の把握不足
熱収支(投入熱量と有効利用・損失の内訳)が整理されていない場合、ロスの主要因と対策優先度を定量的に特定できず、対策が場当たり的・断続的になりやすい傾向があります。
蒸気ボイラーの省エネ化を支援する4つの要素技術
蒸気ボイラーの省エネを実現するには、熱の有効活用やエネルギーの「見える化」、運用管理の徹底が重要です。現場の状況に合わせた複数の技術や取り組みを組み合わせることで、効率的なエネルギー運用が可能となります。
・排熱回収・再利用技術の導入
工場から発生する排熱や廃温水を回収し、生産工程などで再利用することでボイラーの燃料使用量を抑えることができます。
・エネルギー管理システム(EMS)の活用
施設全体のエネルギー使用状況を見える化し、無駄や異常をリアルタイムで把握。データに基づき、運用改善や省エネ策の立案を行います。
・流量計・センサーによる熱エネルギーの無駄・ロスを把握
流量計や各種センサーを設置することで、蒸気や熱エネルギーの流れと損失個所を発見・分析できます。
・運用管理の最適化・省エネ運転の自動化
不要な稼働やエネルギーのムダを見直し、必要最小限の運転や部分最適化など、日常的な運用改善を図ります。個別に最適化を行う方法と、IoTやAI技術を用いることで自動化する方法が考えられます。
上記の他、蒸気ボイラー設備そのものを更新するという方法があります。環境省の温室効果ガス排出抑制等指針によると、温室効果ガスの排出の抑制等に資する設備として潜熱回収型ボイラー・高効率温水ボイラー・廃熱利用ボイラー等エネルギー消費効率の高いボイラーの導入が対策メニューとして掲載されています。
食品製造業における未利用エネルギーの利用動向
食品工場のカーボンニュートラル化や省エネ化の取り組みの一つとして未利用エネルギーの利活用があります。一般に電力を対象とした省エネ活動や見える化の普及率は高い一方で、熱エネルギーを対象にした省エネについては取り組みが相対的に遅れており、例えば排熱・排水などの未利用エネルギーの活用余地が多く残っているためです。
食品製造業のカーボンニュートラルに関する意識調査(2022年調査)によると、2022年調査現在において工場排熱を中心とした「未利用エネルギーの活用」は約4割がすでに取り組んでおり、「取り組んでいないが、取り組む予定がある」含めると約7割となっています。このことから、食品製造分野で熱エネルギーの最適利用への関心が高いことが伺えます。
別の調査で、食品・化学工場のエネルギー見える化に取り組む製造業の現状と課題(2024年調査)によると、見える化を行っているエネルギーに関する設問では「蒸気」との回答が45.6%となりました。蒸気は主要な管理対象の一つであり、CO2排出量やエネルギーコスト抑制の観点でも重要であると考えられます。
このような調査結果から、食品製造業では電力に加え、蒸気や排熱・未利用エネルギーを視野に入れた工場全体のエネルギー最適化が進むと考えることができ、今後もエネルギー見える化やEMSの導入、データ活用体制の強化、AIを活用した最適化などの技術の活用が進んでいくと予想されます。
蒸気ボイラーの省エネに関する製品・サービス一覧
蒸気発生ヒートポンプ
蒸気発生ヒートポンプは、工場で排出される60~80℃のドレン水・排温水などから熱を回収し、条件に応じて100~120℃の飽和蒸気を発生させます。これにより廃熱や廃水の熱回収・排熱利用ができるようになり、ボイラーの燃料費削減やCO2排出量低減を可能にします。高圧ガス保安法対象外、コンパクト設計で屋外設置も可能で、蒸気の使用量に応じ最大10台での接続運転に対応します。
蒸気発生ヒートポンプ
熱EMS/熱収支分析システム
熱収支分析システムは飽和水蒸気利用設備の熱収支を自動で見える化、異常データの判定や、熱効率を改善するための要因分析などを可能にします。蒸気使用量・排熱量・その他ロスを数値化し、AIが「いつもの状態」との差を自動分析することで食品工場の省エネ対策の推進、CO2排出量の削減などを可能にします。
熱EMS/熱収支分析システム
蒸気用超音波流量計/EMSソリューション
蒸気用超音波流量計は、配管外付けタイプのセンサーで飽和蒸気の流量を測定するクランプオン式流量計です。蒸気設備の省エネ対策、蒸気のムダ・ロスの見える化を可能にし、設置にあたり配管切断やフランジ加工が不要のため、製造ラインを止めずに増設・更新ができます。 さらに、エネルギーマネージメントシステムを構築することで食品工場全体の省エネ、エネルギー利用の最適化を実現します。
蒸気用超音波流量計/EMSソリューション
EMSソリューション(エネルギーマネジメントシステム)
EMSソリューションは、工場の省エネ活動のペーパーレス化を推進し、エネルギー管理業務の効率化と省エネを同時に実現します。熱・電気利用設備を中心に、エネルギーと製造管理情報の統合分析によるスマート化を支援。中央監視、保全管理、故障予兆解析など広範な機能を一元的に提供し、ライフサイクル全体の運用効率向上を図れます。クラウド型・オンプレミス型両方に対応。ペーパーレス化によって情報共有を加速し、ノウハウの蓄積も容易、複数業種で実績があります。
EMSソリューション(エネルギーマネジメントシステム)
エネルギー管理・分析ツール MainGATE/PPA for EMS
工場のエネルギー管理業務を自動化・ペーパーレス化するためのソリューションです。手作業による記録や帳票管理の負担を軽減します。複数プロトコル対応で各種データを自動収集し、エネルギー消費傾向や改善ポイントの分析を効率的に支援。ISO50006管理フレームにも対応しており、国際的な標準に沿った分析と帳票出力が可能です。
エネルギー管理・分析ツール MainGATE/PPA for EMS
蒸気ボイラーの省エネは現状把握から
食品製造業での蒸気ボイラー省エネ対策は、コスト削減と環境負荷の両面で大きなメリットがあります。実際、多くの工場が省エネ設備の導入やエネルギーの見える化により成果を上げています。一方で、省エネ事例は参考になりますが、導入効果は「蒸気利用の現状」と「回収できる排熱」で大きく変わります。まずは蒸気の使用実態を把握し、次に熱エネルギーの無駄やロス、排熱回収余地を整理することが必要です。これにより運転見直し・排熱回収・ヒートポンプ導入や蒸気ボイラーの更新など、打ち手の優先順位が付けやすくなります。
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