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工場の省エネルギー化を進めたい

工場の省エネルギー化に取り組みたい場合、最初のステップとして「エネルギー使用状況の見える化」をおすすめします。現場での電力や蒸気、熱の消費状況を把握できていないと、具体的な改善ポイントを特定するのが難しくなります。

そのため、まずはIoTやエネルギーマネジメントシステム(EMS)などを活用し、データ収集とエネルギー消費の見える化から始めることが有効です。見える化ができれば、具体的な問題の特定や省エネ対策の効果検証、自社に合った改善策の検討がしやすくなり、継続的な改善にもつながります。

▼ 工場の省エネルギー化の事例一覧
▼ 工場の省エネルギー化に役立つ製品・サービス

 本文	 工場の省エネルギー化のイメージ

【目次】

工場の省エネルギー化に取り組むメリット

・エネルギーコストの削減
ヒートポンプやEMSの導入によりエネルギー消費量やコストを削減します。ヒートポンプやエネルギーの最適利用でエネルギーコストを30~60%削減した事例もあり、固定費を大きく圧縮することに貢献します。

工場の省エネルギー化は、単なるエネルギーコストの削減だけではなく、エネルギー消費を可視化・監視することで設備保全や工場の安定操業に寄与します。工場の省エネルギー化が実現の主なメリットには以下のようなものがあります。

・CO2排出量の削減
設備稼働の最適化やボイラーの焚き減らしなど、省エネによってCO2排出量を削減する効果が期待できます。未利用エネルギーや排熱を再利用することで40~55%削減した導入事例があり、環境負荷低減やカーボンニュートラル達成に貢献します。

・安定稼働・設備保全強化
各設備の稼働状況をリアルタイムで監視・可視化することで、異常時の早期発見と保全強化、トラブル未然防止が可能です。

・業務負荷の軽減・業務効率の向上
エネルギー分析や報告業務を自動化するソリューションにより、現場担当者の業務負荷が減り、生産管理や経営企画の効率も高まります。

工場の省エネルギー化の事例一覧

ヒートポンプによる省エネルギー対策

ディーゼルエンジンの冷却水から排熱を回収し、蒸気発生ヒートポンプによって必要な蒸気を生成し、工場の省エネに活用した事例です。従来はボイラーのみでしたが、蒸気発生ヒートポンプを利用することで、蒸気発生にかかるエネルギーコストを約55%削減、CO2排出量も約40%削減する成果がありました。工場排熱の有効活用は、温水供給や過程の加熱等、多様なプロセスに貢献し、エネルギー効率向上と環境負荷低減に直結します。このような未利用エネルギー活用への取り組みは食品製造業界でも広がりつつあり、今後さらなる省エネ推進が期待されています。

熱収支分析による排熱回収利用・設備の省エネ対策

殺菌設備における蒸気と熱収支の分析事例では、廃温水から発生するフラッシュ蒸気の回収利用や、設備停止中の余剰蒸気の有効活用が可能であることが判明しました。排熱の再利用により、エネルギー効率の向上と設備稼働の最適化、コスト削減が期待できます。今後はカーボンニュートラルや低炭素社会に向けた取組みの一環として、工場排熱など未利用エネルギーの活用がさらに進む見通しです。

蒸気エネルギー可視化によるボイラー設備の最適稼働

省エネ推進には「熱エネルギーの見える化」が有効です。この事例では、蒸気用超音波流量計の導入で、設備停止無しに蒸気消費量を測定し、無駄な消費箇所を明確にすることができました。これによりボイラーの稼働条件最適化が可能となり、省エネ効果が期待できるということが分かりました。また、省エネルギー対策として保温・断熱や廃熱回収、高効率ボイラーの活用なども提案されており、現場での実効性の高い改善案が示されています。

エネルギーマネジメントシステムによる省エネ対策

工場のエネルギー管理を一元化し、EMS導入で各設備の消費量の可視化と継続的な改善活動の基盤を整備した事例。モニタリングや予測モデルの導入で、エネルギー損失を早期発見・対策でき、時間帯別や機器別の消費特性から最適な省エネ対策が立案可能になりました。結果、省エネ効果は約40%に達し、今後は他工場とも改善成果を共有しながらさらなる効率化を図ることが見込まれます。

電力見える化システムによる省エネ・ CO2排出量削減

工場のエネルギー管理を一元化し、EMS導入で各設備の消費量の可視化と継続的な改善活動の基盤を整備した事例。モニタリングや予測モデルの導入で、エネルギー損失を早期発見・対策でき、時間帯別や機器別の消費特性から最適な省エネ対策が立案可能になりました。結果、省エネ効果は約40%に達し、今後は他工場とも改善成果を共有しながらさらなる効率化を図ることが見込まれます。

工場のエネルギーの見える化/省エネ分析支援システム

食品工場における省エネルギー活動では、EMS(エネルギーマネジメントシステム)と省エネ分析支援システムの連携が効果的です。A社ではエネルギー消費の見える化に加えて、省エネ法報告書や社内報告書などの作成業務を自動化。時系列・工場別の消費状況分析、設備運用や費用対効果の評価など、多角的な視点で省エネ活動を推進し、業務負荷の軽減と省エネ効果の明確化を実現しました。これにより、全社的なエネルギー効率の改善が期待されています。

生産工程で排出される温水を活用したCO2排出量の削減

工場の省エネルギー推進には、排熱利用の高度化にむけ、食品製造業A社の生産工程で発生する排温水を蒸気発生ヒートポンプで熱回収し、再利用する事例を紹介しています。この手法により、従来捨てられていた温水のエネルギーを有効活用することで、エネルギーコストを60%、CO2排出量を55%削減する効果が期待できることがわかりました。カーボンニュートラルへの関心の高まりや省エネルギー対策の現場で、排熱利用は競争力と持続可能性の両立に貢献します。

熱のエネルギー管理システムによる蒸気利用設備の効率化

食品工場における省エネルギー施策として、蒸気利用設備の熱収支分析システムを導入した事例です。この熱収支分析システムにより、無駄な熱消費の箇所がリアルタイムで特定でき、運用改善による省エネとコスト削減効果が期待されます。また、AI技術を使った原因分析が可能となるため、専門知識不足の課題を解消し、属人化の回避および業務効率化にも貢献します。


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工場の省エネルギー化とは

工場の省エネルギー化は、エネルギーコスト削減や環境負荷低減だけでなく、経営効率の向上や社会的責任の達成にも関係する重要なテーマです。一般的には、手動・自動によるエネルギー使用の「見える化」や排熱・未利用エネルギーの活用、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入などが有効な解決策とされています。

これらの取り組みにより、省エネ活動の効果測定と継続的な改善が可能となり、生産性の改善やコスト削減、競争力強化につながる様々なメリットが期待できます。

以下では、工場の省エネルギー化に関する課題やメリット、そして実現方法について具体的に紹介します。

工場の省エネルギー化の課題

工場の省エネルギー化における主な課題は、エネルギー使用状況の把握できていない、排熱や未利用エネルギーの活用不足、専門知識や人材リソースの不足、投資対効果の不透明さと現場負荷など多岐にわたります。これらの課題を解決するには、現場の実情にあった省エネ施策の検証と、工場全体での省エネルギー化に向けた省力化の仕組みづくり、運用体制の整備が重要になります。

・エネルギー使用状況の把握できていない
電力や蒸気、熱の消費状況を「見える化」できていない工場が多く、省エネ活動の優先順位を検討したり、改善点の特定が難しくなります。

・排熱や未利用エネルギーの活用不足
生産工程で発生する排熱や余剰エネルギーを十分に再利用できていないケースが多く、これは工場全体のエネルギー効率が低いことを意味します。

・専門知識や人材リソースの不足
熱収支分析や最適な設備運用に関する知識の属人化や人材の不足により、工場全体の省エネルギー対策が進みにくくなる場合があります。

・投資対効果の不透明さと現場負荷
導入効果や費用対効果が不透明なため、設備投資が進みにくく、紙による記録や人に依存した業務が多くなることで業務負荷が高くなる場合があります。

工場の省エネルギー化の実現方法

課題解決に向けた方策としては、設備投資だけでなく、管理・運用体制も含めた総合的なアプローチが大切です。例えばエネルギー利用の収集・可視化をIoTやAI技術を活用することで、業務フローを見直し、省エネルギー化にむけた取り組み負荷を軽減するなどが考えられます。

・エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入
工場全体やライン単位ごとのエネルギー消費をリアルタイムで監視・分析するなどして、省エネ活動の基盤となる環境を整備します。データの収集や実績管理を自動化し、省エネ業務の省力化にも役立ちます。

・排熱・未利用エネルギーの活用
排熱・未利用エネルギーを活用することで、ボイラーの焚き減らしや設備稼働の最適化を行い、省エネルギー化を実現する方法です。例えば、排熱回収ヒートポンプや熱収支分析システムを活用することで、これまで捨てられていた熱エネルギーの再利用や、エネルギーのロスを最小化することが可能になります。

・蒸気・熱の流量や消費状況の「見える化」
一般に電気の見える化は比較的取り組み易いですが、蒸気や熱のエネルギーについてはあまり取り組みが進んでいません。例えば蒸気用超音波流量計のなどを導入し、蒸気エネルギー消費の無駄や異常を見える化することで設備運転の改善が可能になり、省エネにつなげることが可能になります。

・AI・デジタル技術を活用した自動診断・最適化
人の経験や作業に依存せず、AIによるデータ分析や異常検知を導入することで、ダウンタイムなどのロスの削減やエネルギーの無駄を早期発見することが可能になります。

現場での省エネルギー化を着実に進めていくためには、このような技術やソリューションを活用し、現場に即した運用フローの構築が有効です。

食品製造業における省エネルギー取り組みの実態と課題

食品工場では、省エネルギー対策が重要な経営課題となっています。 食品工場の省エネルギー対策に関する実態調査(2022年調査)によると、省エネルギーへの取り組みについて「取り組んでいる」とする回答が66.3%を占めており、その主な理由として「コスト削減・原価低減」(80.1%)、「地球温暖化対策・環境負荷の低減」(59.1%)、「企業の社会的責任への配慮」(55.7%)などが挙げられています。

同調査でエネルギーの「見える化」については、全体の76.0%が見える化に取り組み、そのうち70.5%が省エネ対策に活用しています。具体的な施策としては「高効率・省エネ設備への切り替え」が80.3%、「既存設備の改修・運用見直し」が82.3%など、設備投資を通じてエネルギー効率の向上を図る動きが活発です。 今後の省エネ対策についても「そう思う」「ややそう思う」とする回答が8割以上にのぼり、継続した活動への意欲が見て取れました。

また、 食品製造業のカーボンニュートラルに関する意識調査(2022年調査)によると、カーボンニュートラルの観点からも「省エネ活動の推進」や「高効率・省エネ設備への切り替え」、「エネルギー使用量の見える化」は重要な活動として位置づけられており、食品業界全体で広く取り組まれていることがわかります。

食品工場では経営効率と環境配慮を同時に実現するため、今後も省エネ対策が継続的に取り組まれていくものと考えられます。

工場の省エネルギー化に役立つ製品・サービス

EMSソリューション(エネルギーマネジメントシステム)

富士電機の「EMSソリューション」は、自社工場で培ったスマート化のノウハウを標準パッケージ化し、省エネ機器・設備の導入からクラウド活用まで一括で対応します。エネルギー情報と製造管理情報を統合した分析環境により、熱電供給設備の最適運用、トータルエネルギーコストの削減、設備稼働監視や保全管理などによる運用効率の最大化を実現します。業種別ソリューションも充実しており、多様なニーズに最適提案が可能です。

EMSソリューション(エネルギーマネジメントシステム)

蒸気用超音波流量計/EMSソリューション

工場の省エネルギーに不可欠な蒸気流量の見える化を実現します。クランプオン式により配管加工不要、ライン停止不要で設置でき、圧力損失がなく蒸気エネルギーの効率的な計測ができるのが特徴です。独自のデジタル信号処理技術とノイズ除去フレームで正確な計測を実現。EMSとの連携による熱電管理やエネルギーマネジメントの効率化が可能で、省エネ・コスト削減を推進したい企業様にお勧めです。

蒸気用超音波流量計/EMSソリューション

エネルギー管理・分析ツール MainGATE/PPA for EMS

エネルギーの見える化から最適化までに対応した、工場の省エネルギーを支援するMainGATE/PPA for EMS。製造管理データと統合し、多様なパターンのデータ閲覧や分析業務の負荷軽減に貢献します。ISO50006準拠の自動診断・ダッシュボード機能も搭載し、主要な運用効率の分析・課題抽出や改善効果の定量評価が可能になります。

エネルギー管理・分析ツール MainGATE/PPA for EMS

熱EMS/熱収支分析システム

工場設備の安定稼働と省エネ推進に向けのシステムです。熱収支状態を自動監視・分析し、AIによる効率悪化・故障予兆までリアルタイムで抽出することができるようになります。蒸気や排熱水量、温度のきめ細かなデータ解析で「いつもと違う」異常状態やロス要因を検知できることで、運用改善サイクルを定着させ、安定生産とコスト削減をサポートします。

熱EMS/熱収支分析システム

蒸気発生ヒートポンプ

蒸気発生ヒートポンプは、既存設備から排出される未利用熱(温水60~80℃)を再利用して高効率の飽和蒸気を発生。最大加熱能力は30kW、蒸気発生量は45kg/h、複数台(10台まで)接続が可能で、ランニングコストとCO2排出量低減に貢献、生産現場の多様なニーズに応えます。また、高圧ガス保安法対象外・資格者不要と導入も容易です。

蒸気用超音波流量計/EMSソリューション

工場の省エネルギー化への「第一歩」は見える化

工場の省エネルギー化は、経営課題の中でも重要なテーマのひとつです。もし、これから省エネルギー化を検討しようとしている場合は、まずは現状のエネルギー使用状況を「見える化」することからご検討されてはいかがでしょうか。見える化が実現できれば、いままで気づけなかった省エネルギー化を実現するための課題が明確になり、具体的な打ち手が考えやすくなります。また、電気のエネルギーだけではなく、熱や蒸気エネルギーの見える化を行うなど、見える化の対象を拡大させることで、さらなる省エネルギー化に取り組める可能性があります。


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