株主・投資家情報
半導体 セグメント概況 富士電機レポート/統合報告書

富士電機レポート2025 TOPページ
半導体事業本部長写真

自動車の電動化、機器の小型化、
省エネとCO2削減への貢献を通じて
中長期的な事業拡大を図ります。

取締役 執行役員専務
半導体事業本部長
宝泉 徹

市場動向と事業機会

 高い変換効率・電力制御で省エネを担うパワー半導体は、脱炭素化に向けた環境対応、製造業の自動化投資の高まりなどを背景 に、グローバルで需要が増加しています。

業績概況

業績推移( 億円)
業績推移( 億円)

 2024年度は、海外の電動車向けおよび国内のFA関連向けの需要は低調だったものの、国内の電動車向けおよび海外の再生可能エネルギー向け需要の増加、および販売価格の改定により、売上高は対前年度88億円増加の2,368億円となりました。営業利益は生産能力増強に係る費用の増加、原材料価格の高騰影響などがあったものの、売上高の増加や販売価 格の改定により、対前年度9億円増加の371億円となりました。
 2025年度は、再生可能エネルギー向けの需要は引き続き堅調に推移し、FA関連向けは緩やかな回復を見込むものの、電動車向けの物量減により、売上高は対前年度138億円減少の2,230億円。物量減、原材料価格の高騰、固定費増および2024年度の販売価格の改定影響により、営業利益は対前年度156億円減少の215億円、営業利益率は9.6%を計画しています。

重点施策

電動車向け新規スペックインの強化とIGBT・SiCの売上拡大

 航続距離向上、車内空間確保、軽量化に貢献するパワー半導体モジュール製品の、更なる小型化、発生損失低減、信頼性向上に向けた製品開発に取り組んでいます。
 当社は他社に先駆けて開発したSi製RC-IGBT※1を活用し、従来品に比べ54%小型化を実現した小型RC-IGBTモジュールを開発しました。またSiC製品では、当社の立体配線技術により従来品に比べ49%小型化を実現し、モジュール内部のインダクタンス※2を大幅に低減し損失を減らしたSiCモジュールの新製品を開発しました。小型RC-IGBTモジュールは2025年度に量産を開始し、SiCモジュールは2026年度に量産を開始する予定です。
 これら競争力のある新製品を中心にスペックイン強化、新規顧客開拓を推進し、顧客装置の小型化・低コスト化に貢献します。

※1 RC-IGBT

異なる機能を持つ2種類の半導体(IGBT、還流ダイオード)を1チップ上に直線状に交互に配置し動作させることで、大幅な低損失、小型化を可能にした製品

※2

この値が大きくなるとスイッチング損失やノイズが増大

電動車向け新製品
小型RC-IGBTモジュール
小型RC-IGBTモジュール

同一定格換算。従来品と定格電流が異なるため、モジュールの実行出力換算値で比較

SiCモジュール
SiCモジュール

再生可能エネルギー分野を中心に売上拡大

 再生可能エネルギー分野では、発電量の増加に向けた高耐圧化、電力の安定供給に必要な高信頼性、機器の小型化・軽量化につながる、より高効率な製品へのニーズが高まっており、当社はそれらを実現したIGBTモジュールおよびSiCモジュールの製品系列を拡充し、売上を拡大しています。
 産業分野向けの次世代品の開発も進めています。第8世代IGBTモジュールは現在主力製品である第7世代IGBTモジュールに比べて発生損失を15%以上低減させることでチップを小型化し、さらに構造部材の共通化、標準化、現地調達化などの取り組みにより大幅なコストダウンを図ります。
 今後も堅調な需要を取り込み、再生可能エネルギー分野を中心に売上を拡大していく計画です。

再生可能エネルギー分野向け製品ラインアップ
再生可能エネルギー分野向け製品ラインアップ

需要に対応した生産能力増強と新製品の量産開始

 足元の需要環境に応じて生産能力の増強スピードをコントロールしながら、将来の需要拡大および更なる事業成長に向けた設備投資は継続します。
 SiCチップの製造工程(前工程)は、2024年12月から富士電機津軽セミコンダクタで6インチの本格量産を開始しました。2025年度は生産能力を対前年度2.5倍増強させるとともに、松本工場で8インチの先行ライン構築を進めます。
 Siチップの製造工程(前工程)は、第8世代IGBTを2025年度末より順次量産を開始します。
 組立工程(後工程)については、電動車向け小型RC-IGBTモジュールや再生可能エネルギー向け第7世代IGBTモジュールの新製品を2025年度より量産開始します。

設備投資・研究開発

設備投資額(億円)
研究開発費(億円)

研究開発費はテーマに応じてセグメントに分類したもので、決算短信記載の数値とは異なります。

主な設備投資計画
  • SiC 6インチ(前工程)生産能力増強

  • SiC 8インチ先行ライン

  • 電動車向け・産業分野向けモジュール生産能力増強

主な研究開発計画
  • 第3世代SiC-MOSFET、第8世代IGBTなど新製品開発の推進

  • SiC 8インチ技術開発の強化

  • 長寿命UPS、次世代UPS系列拡大