富士電機株式会社

社外役員座談会

実効性の高いガバナンスの実現に向けて

取締役会の機能が十分に果たされているかを検証し、さらなる改善を図るため、2019年度に取締役会の実効性評価として、初めて第三者アンケートを実施しました。

本座談会では、「実効性の高いガバナンスの実現に向けて」を主題に、取締役会の運営および議論における課題、今後の富士電機への期待について、さまざまなバックグラウンドを持つ社外役員の方々よりご意見をお聞きしました。

写真:丹波 俊人

丹波 俊人

社外取締役
(2016年6月就任)
東京センチュリー(株)
取締役
写真:立川 直臣

立川 直臣

社外取締役
(2016年6月就任)
写真:林 良嗣

林 良嗣

社外取締役
(2017年6月就任)
中部大学
持続発展・スマートシティ国際研究センター
センター長・教授
写真:平松 哲郎

平松 哲郎

社外監査役
(2016年6月就任)
中央日本土地建物グループ(株)代表取締役社長
日本土地建物(株)代表取締役社長
写真:荒井 順一

荒井 順一

取締役
執行役員専務
経営企画本部長

取締役会の運営・議論状況

ポイント
  • ●適切な議題数で十分な時間が取られ、活発な議論がなされている

  • ●業績報告や決議事項が中心で、中長期およびESGに関わる議論が不足

荒井

今回初めて、第三者機関によるアンケートを実施し、客観的な分析・評価を行い、いくつかの課題を抽出しました。まずは、取締役会の運営あるいは議論について、ご意見をお聞かせください。

丹波

今回のアンケート実施により、我々が気付かなかったことも課題抽出されて、そういう意味で非常に良かったと思います。当社の取締役会は、他社の取締役会と比べても、極めて活発な議論ができていると考えています。ただ、内容に関しては、現状は業績の報告や決議事項が主体であり、中長期的な課題が不足しているのではないかと思います。

立川

十分な時間を取り、かなりしっかりした議論ができている点を評価しています。他社の取締役会では議題が多すぎて、時間が足りなくなってしまったこともありましたので、取締役会の付議基準とも関係しますが、議題はそれほど多くない方が議論の内容を深めることにつながるという相関関係にあると思います。

取締役会では自由に発言できる雰囲気があってとても良いと思います。監査役の方々からのご指摘・ご意見も出ますし、それに対して、社内取締役も真摯に聴いておられて、意見を吸収しようという姿勢がとてもよく感じられます。一方、内容に関しては、財務面だけでなく非財務情報のESG面についても、今以上に議論される必要があるのではと思います。

平松

資料をいただくタイミングが、どうしてもぎりぎりになってしまうのはやむを得ないと思っていますが、資料内容の工夫は重ねていっていただきたいと思います。より建設的な議論とするため、審議・報告に至る経緯について、社内の委員会や経営会議での論点を的確に伝えていただくことによって補完していくことを今後の改善策として期待しています。

写真:丹波 俊人

丹波取締役

写真:立川 直臣

立川取締役

取締役会のさらなる活性化に向けた課題

ポイント
  • ●長期ビジョンおよび中期経営計画立案の初期段階での取締役会の関与

  • ●中長期課題に関する各部門長との議論の機会の充実

  • ●企業活動を通じた環境・社会面での貢献に関する議論

荒井

資料提供のタイミングについては早期化に努めるとともに、取締役会に上程されるまでの主な論点を説明に織り込むなど、資料内容の充実も図っていきたいと思います。また、先ほど、丹波取締役、林取締役から議題についてご意見がありましたが、アンケートの中でも、中長期的な課題やESGに関わる議論が不足しているのではないかというご指摘をいただいております。具体的にどのような内容が不足しているとお考えでしょうか。

丹波

中期経営計画を立案する場合、フェーズ1あるいはフェーズ2の段階で、我々も議論に入るというようなことを、次の中期経営計画のときには是非お願いしたいと思います。もう一つは、例えば10年先の会社の姿をどのように展望するかという大きな命題を議論すること。我々はものつくりメーカーですから、1年2年で成果が出るわけではないと思います。10年先、20年先を見据え、長期でどういう会社になっていくべきかという議論からバックキャストして中期経営計画を作るといった手法・考え方を取り入れたらいいのではないでしょうか。言うのは簡単で実行するのは難しいですが、そういう視点を一度検討していただきたいと思います。

立川

中期経営計画の議論に関しては同様の感想を持っています。中期経営計画のコンセプトというか、経営理念をどのように実現していくのかについて、取締役会で報告・議論が欲しいと思います。SDGsや環境に係る取り組みについては、かなり長期視点で報告いただき、議論させていただいていますが、事業そのものについては、もう少し議論する場があってもよいと思います。

ESG、なかでも、環境、社会に対してトータルでどう貢献していくかについて、現状からさらに進めていくことが当社の企業価値を高めることになると考えています。例えば、売上高や利益の報告と同様に、部門ごとに、原材料やエネルギーの使用による生産工程での温室効果ガス排出量と、製品を通じたCO2排出削減について、地球社会に対するプラスとマイナスの貢献を見える化・共有化する取り組みに期待したいですね。また、環境面だけでなく、雇用などを通じた地域社会・国への経済的な貢献という視点も大切だと思います。こうした取り組みが取締役会で報告され、議論していったらいいのではないでしょうか。これまで、各工場を視察させていただいたなかで、発明に近いようなさまざまな工夫を自由にチームで形にすることをやっておられて感心しました。そうした企業風土が根付いていると感じており、それをうまく活用し、各職場で議論されるようになるといいですね。

平松

社外役員の主たる責務はリスクガバナンスにおけるチェックと中長期的観点からの助言だろうと思います。昨年、中期経営計画策定後に各部門長から方針を説明していただきましたが、今後も適宜、適切なタイミングで中長期課題の議論をする機会をつくっていただきたいですし、それを通じて私たちも理解が深まります。また、私自身、監査役としてリスクチェックを心掛けて取締役会に参加していますが、これまでに経験のない大規模災害や新型コロナウイルス感染症などに対し、サプライチェーン全体での事業継続力の強化が一層重要性を増していると思います。当社の状況について、取締役会でも報告・議論がなされていますが、社外の知見を生かすことも今後は有用ではないでしょうか。

写真:林 良嗣

林取締役

写真:平松 哲郎

平松監査役

持続的成長に向けた富士電機への期待

荒井

当社は、会社の成長と共に社会・環境課題の解決を図る、持続的な成長に向けた取り組みを推進しています。最後に当社に対する今後の期待についてお聞かせください。

丹波

経営の方向性は明確、グローバル化のさらなる加速を。当社の一番の強みは人財

SDGs、ESG、とりわけ環境の分野について、我が社は極めて積極的に、社員への啓蒙も含め取り組んでいると評価しています。この勢いをもっと出してもらいたい。富士電機に期待することは、経営理念、経営方針の中にも明確に打ち出されていますが、やはり、エネルギー・環境事業を通じて、世界の人々の生活を豊かにすることだろうと思いますので、「グローバル」をこれまで以上に加速していただきたい。

富士電機の一番の強みは人財だと思います。これを生かして、もっとチャレンジして、リスクをテイクして、世界の人々の豊かな生活、安全・安心で持続可能な社会を実現するという大きな夢に向かって進んでいってほしい。その力は我が社にはあると思っています。

立川

エネルギー・環境技術をさらに究めてもらいたい

当社の事業そのものが「エネルギーと環境」に貢献する、これを100年近く積み重ねてきたことは強みであるし、これからも一層そこに傾注していくことで、将来が開けてくるものだと思っています。グローバル化をさらに進めるためにも、やはり、エネルギー・環境技術をさらに究めていき、その分野でリードしていくことを期待したい。

リスク対応力の強化、優れた国際人財の採用を

富士電機は多様な製品を世界のいろんな地域に展開していることが強みだと思いますが、政治・経済だけでなく気候変動など世界中のあらゆるリスクに敏感になり、リスク対応力を一層強化すること、さらに、ウィズ・ポストコロナの時代においては、ITの一層の活用、テジタル化対応も重要課題ですね。そして、真にグローバルな企業になっていくためには、優れた国際人財の採用が必要だと思います。

平松

ものつくりを大切にする企業であり続けてほしい。夢のある事業を行っていることを全社員が共有を

ものつくりを基本にするという企業であってほしいと思います。長い歴史の中でさまざまな製品・事業を生み出し、ものつくりを大切にする精神が富士電機の中に脈々と受け継がれていると思います。地球環境問題が世界の最大テーマの一つであるなか、富士電機は、電気の効率的な利用を追求するといった事業を通じて地球環境に貢献できます。こうした夢のある事業をやっているということを全社員が共有し、取り組んでいってほしいと思います。

荒井

本日は、貴重なご指摘・ご意見をいただき、ありがとうございました。ご指摘いただいたことも念頭に、さらに取締役会の活性化を図っていくとともに、持続的成長に向けた取り組みを加速していきたいと思います。

今回の座談会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を徹底のうえ、林取締役についてはリモートで参加していただきました

写真:座談会風景
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