富士電機株式会社

2019年度事業概況

2019年度は、米中貿易摩擦の影響による中国を中心とした海外市場の減速に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動が制限され、売上高・営業利益は対前年度減収減益となりましたが、事業拡大を目指すパワエレシステム、パワー半導体の生産設備、研究開発に係る積極投資を継続して実施しました。

2019年度業績

売上高は、国内向け老朽化設備の更新需要は堅調に推移したものの、前年度の大口案件および米中貿易摩擦の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた企業活動の制約により、納期延伸や設備投資抑制等の影響が顕在化し、対前年度143億円減少の9,006億円となりました。営業利益は、原価低減を推進したものの、主要コンポーネントの物量減影響、為替影響、先行投資および製品不具合費用の増加により、対前年度175億円減少の425億円となりました。

なお、売上高は、パワエレシステム エネルギーにおける変電設備や電機盤、および発電プラント等のプラントシステム案件は増加したものの、主要コンポーネントの需要は減少しました。

※ 器具(パワエレシステム エネルギー)、低圧インバータ、回転機、FAコンポーネント、計測機器(パワエレシステム インダストリー)、半導体(電子デバイス)、自販機(食品流通)

図:財務指標
<主要コンポーネントの減収要因>

第1四半期から第3四半期までは、米中貿易摩擦の影響を受けて中国の景気減速による投資抑制が継続しました。国内外で工作機械や産業機器等の需要が減少し、器具、低圧インバータ等の売上が減少。加えて、中国経済の悪化は工場閉鎖へと波及し、工場に設置されていた自動販売機(以下、自販機)の再活用により、新台の自販機の需要が減少しました。

第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内外で工作機械や産業機器等の需要が減少し、器具、低圧インバータ、FAコンポーネント等の売上が減少。また、国内・中国向け自販機や中国向け半導体の売上が減少しました。

図:主要コンポーネント・プラントシステム別売上高
海外売上高

アジアにおいて電機盤の大口案件計上による増収、欧州において産業向け半導体事業の増収があったものの、中国における自販機、半導体、低圧インバータ等の主要コンポーネントの需要減少により、海外売上高は対前年度115億円減少の2,209億円となり、海外売上高比率は前年度並みの25%となりました。

図:海外売上高

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財務・業績

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設備投資

生産能力拡大、生産ラインの合理化など、パワエレシステム、電子デバイスに設備投資額の約9割を投資しました。

パワエレシステムでは、タイ工場に盤システムを担う第三工場棟を完成させ、千葉工場にエネルギー関連製品強化に向けたエンジニアリング棟の建設を開始しました。また、インバータや計測機器の製品競争力強化に向けた内製化拡大のため、鈴鹿工場と東京工場にて生産ライン合理化投資を行いました。

電子デバイスでは、電動車向けパワー半導体の事業拡大に向けて、前工程は山梨8インチ生産ラインの生産能力を増強しました。また、後工程は車載用圧力センサや電力変換装置向け大容量IGBTモジュールの増産投資を国内外の拠点で行いました。

図:設備投資額

研究開発

グローバルでの競争力強化に向けた商材開発を進め、パワエレシステム、電子デバイスに研究開発費の約8割を投資しました。

パワエレシステムでは、世界最小クラス、大幅なコストダウンを実現した変電機器、大規模なデータセンター向け無停電電源装置、鋳物生産の省エネを実現する誘導炉、大型船向け船舶用排ガス浄化システムの開発を行いました。また、生産現場の問題点を可視化するIoTやアナリティクス・AI(MSPC)を活用して生産性向上に貢献する現場型診断装置「SignAiEdge」を開発しました。

電子デバイスでは、電動車向けパワー半導体の開発に注力し、従来よりも電力損失を低減し、電動車の小型軽量化や効率化を実現するRC-IGBT等を開発しました。

※ Multivariate Statistical Process Control(多変量統計的プロセス管理)

図:研究開発費

2020年度業績見通し

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、日本を含め各国の経済活動が制限されており、現時点において顧客の設備投資および生産動向を予測するのは非常に困難な状況のため、2020年度業績見通しは、経済活動への影響を一定程度精査できる状況となり次第、速やかに公表いたします。

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