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富士電機レポート2026/統合報告書/会長CEOメッセージ

経営スローガン
「熱く、高く、そして優しく」を実践し、
従業員ファーストの経営により
更なる企業価値向上を目指します。

代表取締役会長CEO
北澤 通宏
代表取締役会長CEO 北澤 通宏

経営理念・経営方針の実践により、持続的成長企業であり続ける

富士電機は1923年(大正12年)の創業以来、エネルギー・環境技術を徹底的に磨き、進化させてきました。パワー半導体やパワーエレクトロニクスを中心としたコア技術を強みとし、産業・社会インフラ分野において、クリーンなエネルギーの創出、エネルギーの安定供給、省エネ、自動化に貢献する技術と製品を有しています。さらに、それらを組み合わせるエンジニアリング力を付加することで、お客様のご要望に応える最適なシステムソリューションを提供してきました。

当社経営の基軸にあるのは、地域、お客様、パートナーを大切にして信頼関係を深め「豊かさへの貢献」「創造への挑戦」「自然との調和」を使命とする経営理念、そして経営理念を具現化するエネルギー・環境事業で社会に貢献する経営方針です。エネルギー・環境分野で事業と利益の拡大を図り、「従業員ファースト」の考えのもと、創出したキャッシュを新たな技術や人的資本に積極的に投資し、株主様へもしっかりと還元していく。こうした成長と還元の好循環の実現により、社会やお客様から信頼され、必要とされる持続的成長企業であり続けたいと考えています。

当社を取り巻く環境は、グリーントランスフォーメーション(GX)や、生成AIをはじめとするデジタル技術の普及・拡大に伴うエネルギー需要の増大を背景に、当社の事業機会は拡大しています。

不確実性が高まっている中で、持続的な成長を確かなものにするため、富士電機を中核としたグループ全体が、これからもチーム一丸となって事業活動を推進するとともに、サプライチェーン全体におけるコンプライアンスの徹底や情報セキュリティの確保、経済安全保障や各種災害リスクへの対応力強化など、経営基盤の強化に資する取り組みをグローバルに進めてまいります。

4期連続で過去最高業績を更新し、財務基盤は極めて強固に

2025年度の当社を取り巻く環境は、米国の通商政策の影響などにより経済の先行き見通しの不透明感が継続・拡大するとともに、銀や銅の原材料価格が高騰するなど、業績予想が非常に難しい一年であったと思います。したがって、業績予想の対外開示は、これまでとは異なり、第1四半期決算発表時に上方修正開示を行うなど、株式市場も意識して、適宜、経営の状況を更新し、株主・投資家の皆様との対話を大切にしてきました。

業績面では、売上高は4期連続、営業利益、当期純利益は5期連続で過去最高を更新し、営業利益率は初めて11%を超えました。

この業績に大きく貢献したのはエネルギー部門です。GXや半導体・データセンターに係る投資が拡大する中で、再生可能エネルギーや電力の安定供給のための、蓄電システムなどのエネルギーマネジメントや変電システム、施設・電源システムを中心としたプラント・システム事業が大きく拡大しました。さらに、2023年度下期に、当社の創業時からの中核事業であった発電プラント事業をエネルギー部門に編入し組織を一体化して、体質改善、プラント案件管理の強化に関係部門が一つになり取り組んだ成果が、利益改善に繋がっていると評価しています。

一方、半導体、FAコンポーネント、器具などのコンポーネント製品は、市況や顧客の急激な変化に的確に対処しきれませんでした。物量に見合った生産体制・拠点の最適化、適正かつスピーディな価格転嫁などの短期と中長期の施策を迅速に処していきます。

この10年間、従業員数は約2万7,000人を維持したまま、売上高は1.5倍の1兆2,276億円に拡大しました。これは、2012年度に開始した、収益力改善に向けた全社活動「Pro-7」が、現場の業務品質向上、生産性向上として根付いた成果であり、仕事はチームで行うことが職場に浸透している現れだと評価しており、当社の強みとなっています。

また、財務面では、着実に財務体質は強固になってきました。思い返せば、私が社長に就任した2010年度の前年2009年度は、ネット有利子負債残高は3,477億円に上り、ネットD/Eレシオは1.9倍でした。2025年度は各々192億円、0.0倍まで縮小し、経営としての安定性は増し、より強固になったと考えています。ROE13.1%、ROIC12.6%は、中期経営計画で目標としている水準以上を達成しており、着実に利益を積み上げる事業体になってきました。

業績等の推移(億円)
売上高 営業利益 当期純利益 営業利益率
(年度) 20102011201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026 2026
中期経営計画
賞与月数(ヵ月) 4.104.424.504.805.005.255.305.355.555.605.605.605.906.006.306.306.40
年間配当(円) 2020253445505570808085100115135160200

※ 賞与月数:一般社員の年間平均支給月数 年間配当:1株あたり。2018年10月1日の株式併合を考慮し算出

セグメント別売上高・営業利益(2023年度~2026年度)(億円)
2023年度実績 2024年度実績 2025年度実績 2026年度経営計画(4/28発表)
売上高営業利益営業利益率 売上高営業利益営業利益率 売上高営業利益営業利益率 売上高営業利益営業利益率
エネルギー 3,4713008.6%3,57736410.2%3,96459515.0%4,55071015.6%
インダストリー 4,0193448.6%3,9663398.5%4,6504449.5%4,54048010.6%
半導体 2,28036215.9%2,36837115.7%2,3742359.9%2,2501305.8%
食品流通 1,073888.2%1,11513912.5%1,08013112.2%1,15014012.2%
その他 632436.8%561386.7%584396.6%600396.5%
消去または全社 -443-76-354-73-375-78-340-74
合計 11,0321,0619.6%11,2341,17610.5%12,2761,36611.1%12,7501,42511.2%

※ 2023年度および2024年度実績は、2026年度の事業組替を反映して表示(簡易的な事業組替により算出した参考値)
2025年度実績は、2026年度の事業組替の数値を反映して表示

次期中期経営計画では将来への積極投資により成長と還元の好循環を確かなものに

2026年度は、2027年度から始まる次期中期経営計画を策定する一年となります。2030年代半ばの富士電機のありたい姿を描き、2030年度をターゲットにした目標を検討しています。エネルギー・環境分野で事業・利益の拡大を図り、持続可能な社会の実現に貢献するという経営の基本スタンスは変えません。利益を創出する力はついてきたと思います。社会・産業の変化に対し、中長期的にあるべき事業ポートフォリオを描き、注力する事業領域を定めていきます。更なる成長に向け、M&Aを含めた成長投資の早期具体化とともに、資本効率を如何に高めていくかが次なる課題と考えています。

また、これまでの中期経営計画では営業利益率を重視した経営を行ってきましたが、率を高めるには、売上高(分母)と営業利益(分子)のバランスを図らなければならない難しさがあります。次の中期経営計画では、率より絶対額(売上高、営業利益)に重心をおくことが、次期中期経営計画以降の当社の成長を確かなものにすると考えています。

こうした業績、経営体質の変化において、株主様への還元は、安定的・継続的を基調にしつつ、毎年、配当金の増額を図ってきました。2025年度は、中期経営計画の目標で示している配当性向30%目安を念頭におき、前年度に対して約25%増となる1株当たり40円増配の200円、配当性向は30.1%となりました。2026年度は配当金と合わせて総額210億円の自己株式の取得を第1四半期に実施しました。新たな技術の獲得や人的資本への投資、生成AIを含むデジタル化・情報化投資を拡大させ、株主の皆様への還元を含む成長と還元の好循環を継続出来るよう、経営のかじ取りを行っていきます。

攻めと守りのGX戦略で、サプライチェーン全体で環境課題の解決に貢献

国連や国際社会が求める「2050年ネットゼロ」に向け確実に歩みを進めるため、この2026年度には、現行の「環境ビジョン2050」で定める2030年度目標に加えて、新たに2035年度目標の策定を進めます。

環境課題に対する社会からの要請は、当社のエネルギー・環境事業の成長機会であると考えています。脱炭素化と限りある資源を有効活用する循環経済(サーキュラーエコノミー)を推進します。そのために、環境配慮型の製品と事業を通じて社会やお客様が抱える脱炭素化の課題解決を支援し事業を拡大する「攻め」と、サプライチェーン全体の環境負荷低減に向けた自社生産拠点における環境投資など、自社の活動による環境負荷を最小化し、国際的な規制や要請に対応する「守り」の両輪で、環境経営を推進していきます。

持続的な事業拡大を見据え、AI/デジタル技術を活用した生産性向上など更なるものつくり力強化を推進するとともに、生産時に使用する電力を再生可能エネルギーに切り替え、生産設備も電化を推進します。さらに、欧州から進むエコデザイン規則を先取りしてお客様、お取引先様と相互理解のもとでグリーンサプライチェーンを構築し、事業の拡大を図ります。

多様な人財の活躍と社員の幸せ(ウェルビーイング)の実現

会社の成長には、社員一人ひとりが仕事のやりがい、心身の健康、ワーク・ライフ・バランスなど、富士電機で働くことに幸せ(ウェルビーイング)を感じ、チームでいきいきと働ける環境が重要です。業績の結果は、社員一人ひとりの頑張りとチームの総合力を結集した成果として、賞与という形でしっかりと報いるという方針です。

私は、こうした考え方を、「従業員ファースト」として社員にメッセージを発信しています。従業員ファーストは、経営者としての揺るぎない姿勢と考えています。未来を切り拓く原動力は社員であり、社員のウェルビーイング実現が、会社および社員とその家族の繁栄と幸福に繋がると確信しているからです。

毎年実施している社員意識調査では、「会社満足度」「ウェルビーイング指数」などを経営の重要指標と捉えており、経営や職場の課題として受け止め、継続的に改善しています。

当社は22年ぶりに人事・処遇制度を刷新しました。年齢や経験年数に関わらず、役割に応じた適正な評価を行うことで、社員の自律的なキャリア形成を促します。また、多様化する価値観に応えるべく、女性の活躍拡大には柔軟に働ける環境を整え、組織の機動力向上に継続的に取り組んでいきます。シニア社員には、貴重な経験・ノウハウを可視化し業務変革に繋げるなど、個々人のキャリアを活かし、ライフスタイルに合わせて働き続けられる環境づくりに継続的に取り組んでいきます。

人財獲得競争が激化する昨今、採用活動は総力戦で挑みます。社員と一体となって当社の魅力を広く発信し、学生やキャリア志向の若者の期待に応えてまいります。加えて、海外事業拡大の実現には、現地オペレーションの自律化に向けた経営人財や現地社員の育成、それに伴う報酬制度の構築が重要課題であると認識し、具体化に着手します。

ガバナンスの実効性向上

長期的に企業価値を高めていくために重要な事は、業務執行の健全性、透明性の確保およびガバナンスの実効性の更なる向上です。先行きの予測が難しい社会環境下において、社外取締役、社外監査役の多様な経験と見識に基づく率直な議論を行う機会を増やし、更に強い経営体質を築いていきます。

現在、注力しているのが、海外子会社を含むグループ全体でのリスクマネジメントです。人権、コンプライアンス、自然災害などの従来リスクに加え、近年、重要課題となっている情報セキュリティ、経済安全保障対応などのリスクへの不断の備え、レジリエンスを高めておくことが重要になっています。リスクマネジメントを一元化し、初動対応の迅速化を図るとともに、サプライチェーン全体でリスク影響を最小化するように対処していきます。

なお、本年7月、冷凍冷蔵設備の取引に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立入検査を受け、調査に全面的に協力しております。この事態を重く受け止めるとともに、お取引先様をはじめ、関係の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます。

富士電機のDNA

当社の経営スローガン「熱く、高く、そして優しく」は、諸先輩方から受け継ぎ、これからの社員にも大切に引き継いでもらいたい当社のDNAです。「熱く」は新しい技術・製品を開発し世の中に貢献するという情熱、「高く」は高い目標を持ち、チームで共有する気概、「優しく」は、お客様、仲間、家族に対する優しさや感謝の気持ちです。これこそが諸先輩方が築き上げてきた富士電機のDNAであり、これがあって初めてチームは強固になります。

高い志・目標を持ち続けるには、リーダー自身が率先してその姿勢を示し、働く社員一人ひとりが情熱と誇りを共有することが必要と考えています。

私達は、エネルギー・環境事業を進化させ、社会・環境課題の解決や新たな価値の創造に挑み続け、ステークホルダーの皆様からの共感や信頼を獲得していきます。

皆様におかれましては、今後も一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役会長CEO
北澤 通宏

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