株主・投資家情報
富士電機レポート2026/統合報告書/事業を支える横ぐし戦略/環境
環境
「「環境ビジョン2050」の取り組みを通じて脱炭素化とサーキュラーエコノミーを推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。」
近年、気候変動は地球規模で大きな影響を及ぼしています。各地で頻発する自然災害や生態系への深刻な影響は、社会経済の持続可能性に対しても看過できない脅威となっています。私たち企業が、脱炭素化に加えてサーキュラーエコノミーへの移行を加速させていくことが、ますます重要になっています。
富士電機は「環境保護基本方針」に基づき、地球環境保護を経営の重要課題と位置付け、「環境ビジョン2050」を策定し、「2030年度目標」として、パリ協定が定める「気温上昇1.5℃水準」に整合する温室効果ガス排出量削減やサーキュラーエコノミーの推進を掲げ、サプライチェーン全体で環境負荷低減活動に取り組んでいます。2025年度に行った2030年度目標の定期検証の結果、計画に沿った主要施策により達成可能な見通しであることを確認しました。
環境課題に関する社会の要請は、当社が経営方針の柱とするエネルギー・環境事業の成長機会であると考えています。私たちは、「攻めと守りの環境戦略」を事業の根幹に据え、GX(グリーントランスフォーメーション)製品の拡大により脱炭素需要に応える「攻め」と、自社の環境目標達成などの国際的な規制や要請に対応する「守り」を、環境経営の両輪として推進しています。
また、投資家やお客様など国際社会が求める、企業の環境活動やリスク・機会の透明性向上として、TCFD(気候関連財務情報開示)、TNFD(自然関連財務情報開示)への対応に加えて、SSBJ(国内サステナビリティ開示基準)など、新たな基準に沿った適切な情報開示にも取り組んでいきます。
今後の課題は、2035年度目標を策定し、サーキュラーエコノミーへの対応を強化するとともに、社会の脱炭素化を力強くけん引するGX製品の創出とそれを支える技術革新・生産革新に取り組むことです。これからもエネルギー・環境分野で培ってきた技術を最大限に活かし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
環境保護基本方針
- 1.地球環境保護に貢献する製品・技術の提供
- 2.製品ライフサイクルにおける環境負荷の低減
- 3.事業活動での環境負荷の削減
- 4.法規制・基準の遵守
- 5.環境マネジメントシステムの確立と継続的改善
- 6.従業員の意識向上と社会貢献
- 7.コミュニケーションの推進
環境ビジョン2050
富士電機の革新的クリーンエネルギー技術・省エネ製品の普及拡大を通じ、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現を目指します。
脱炭素社会の実現
サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指します。
循環型社会の実現
ライフサイクル全体で環境負荷ゼロを目指し、グリーンサプライチェーンの構築を推進します。
自然共生社会の実現
企業活動により生物多様性に貢献し生態系への影響ゼロを目指します。
| 区分 | 目標 |
|---|---|
| 産業革命前と比較した気温上昇を1.5℃に抑えるため |
・サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(Scope1+2+3) 46%超削減(2019年度比) ・生産時の温室効果ガス排出量(Scope1+2) 46%超削減(2019年度比)※ ・製品による社会のCO2削減貢献量 5,900万トン超/年 |
| 世界の環境規制に対応しながら、サーキュラーエコノミーを推進 |
・エコデザイン規則に適応した環境配慮型製品への移行 ・廃棄物最終処分率(廃プラ含む)0.5%未満 |
※ 2013年度比54%超削減
持続的成長を牽引する「GX戦略の攻めと守り」
富士電機は、脱炭素社会への貢献を最大の成長機会と捉え、経営方針の柱として「GX戦略」を強力に推進しています。この戦略は、優れた製品を通じて社会の脱炭素化を支援し事業を拡大する「攻め」と、自社の活動による環境負荷を最小化し、国際的な規制や要請に対応する「守り」の両輪で構成されています。
脱炭素需要を取り込みビジネスを拡大
エネルギーの効率利用やクリーン化を支援する環境製品の提供を強化しています。社会やお客様が抱える脱炭素化の課題に対し、当社の強みであるエネルギー・環境分野での技術力で応えることで、持続的な成長を実現します。
規制や要請に応じて自社温室効果ガス排出量削減
サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減を徹底しています。これは企業の社会的責任を果たすための基盤となる取り組みです。
製品を通じたCO2削減貢献量は、エネルギー・環境事業で社会に貢献する当社の事業成長に合わせてGX製品が社会に広く浸透し、脱炭素化に大きく寄与しており、大幅に拡大しています。
自社の生産活動における温室効果ガス排出量は、2019年度の45万トンから、2025年度には27万トンへと40%削減しました。サプライチェーン全体での排出量とともに、2030年度の達成目標に向け、着実に進捗しており、売上高が1兆円を超える成長を遂げる一方で温室効果ガス排出量を減少させる「デカップリング」を実現しています。
「攻め」の成長と「守り」の成果
(年表示は年度)売上高
(億円)生産時の温室効果ガス排出量
(万トン)製品によるCO2削減貢献量
(万トン)サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量
(百万トン)2030年度目標に向けた展望
当社は、2030年度までに「サプライチェーン全体で2019年度比46%以上の排出量削減」と「社会のCO2削減貢献量5,900万トン超」という高い目標に加え、サーキュラーエコノミーの推進に向けた環境配慮型製品への移行を掲げています。
今後も自社生産拠点への太陽光発電導入や再エネ電力購入拡大や燃料使用設備の電化を継続するとともに、次世代パワー半導体や高効率なエネルギーマネジメントシステムの普及とともに、脱炭素需要の新領域への新製品投入を進めます。富士電機は、GX戦略の深化を通じて、持続可能な社会の実現とさらなる事業成長に挑み続けます。
サプライチェーン全体で取り組む環境負荷低減
富士電機は、「環境ビジョン2050」において、「温室効果ガス排出量の削減」「サーキュラーエコノミーの推進」を重要課題と位置付け、事業、研究開発、調達、ものつくりの部門間連携、および、お取引先様、お客様も含めたサプライチェーン全体での課題解決に向け、中長期的な視点で環境ビジョンを推進し、持続可能な社会の実現を目指しています。
お取引先様と協働し、グリーンサプライチェーンの構築を推進しています。
サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減活動の中で、調達品については、2025年度からお取引先様ごとに温室効果ガス排出量の算出をお願いしています。お取引先様には、面談を通じて削減のための協働アイテムを抽出し、活動計画を策定していきます。一方で、部材単位でのCFP(カーボンフットプリント)※1の算定を目的とした富士電機CFP調達ガイドラインを策定し、データの収集を開始しました。
また、製品に使用される化学物質については、お取引先様に「富士電機グリーン調達ガイドライン」の遵守をお願いし、環境負荷低減を推進しています。
※1 CFP:製品のライフサイクルでの温室効果ガス排出量を明示する仕組み
CFP一次データの収集
2025年度は、代表5機種(缶自販機、低圧インバータ、パワー半導体モジュール、変圧器、電磁開閉器)で、国内約250社のお取引先様に約3,300品目の一次データ(Scope3 カテゴリ1)の調査を開始しました。
Scope3上流の内訳
※3 カテゴリ1:購入した製品・サービス
※4 カテゴリ2-8:資本財、輸送、廃棄物等
GX関連の新たなニーズに応える新製品の創出を目指した研究開発を推進しており、水素・アンモニアなどへの燃料転換、CO2回収、熱プロセスの電化などの分野で、製品による社会のCO2削減に向けた新技術の獲得に挑戦しています。
サーキュラーエコノミーに関しては、国際的な規制動向への対応に向け、リサイクル材料の評価・適用技術など環境負荷低減に寄与する技術開発や、新たなビジネスモデル実現に向けた新製品の創出を推進しています。また、規格・規制のルールメイキング活動へ参画することで、環境負荷低減と経済活動の調和を目指しています。
さらに、これら活動の指針とすべく、GX戦略やロードマップの策定も進めています。
2030年度の温室効果ガス排出量(Scope1+2)の46%超削減(2019年度比)に向け、生産技術革新・高度化と省エネを計画的に推進しています。具体的には、化石燃料を使用する設備の電化や乾燥・焼付工程の低温化といったプロセス変革に加え、設計段階から「DFM(製造容易性設計)」※2による製品当たりのエネルギー使用量の低減を図っています。また、設計のデジタル情報を活用し、CFPの自動計算、見える化を推進しています。さらに設備の最適制御や最新の省エネ設備への更新、太陽光発電の導入や再エネ電力の購入拡大を計画的に進めています。
サーキュラーエコノミーの実現に向けた対応では、材料の歩留まり改善や再利用、再生材活用の拡大を徹底しています。廃棄物を最小化するゼロエミッションの推進や化学物質の管理・削減を行うことで、包括的な環境負荷低減と持続可能なものつくりの両立を追求しています。
※2 DFM(Design for Manufacturing):製造しやすい設計
GX新製品事例
エネルギー・環境分野を事業領域とする当社は、製品供給を通じて社会のカーボンニュートラル実現に貢献します。強みであるパワー半導体とパワーエレクトロニクスのシナジーにより、各種変換装置を大幅に省エネ化・軽量化するSiC(シリコン・カーバイド)パワー半導体や、装置効率97%を達成したデータセンター向け無停電電源装置など、高効率機器の普及を推進します。また、地熱・水力などの再エネプラントから、工場の熱電利用を最適化するEMS(エネルギーマネジメントシステム)まで、電力損失を最小化するソリューションをグローバルに提供します。
サーキュラーエコノミーについては、全部門が連携して「環境配慮型製品」への移行を推進しています。ESPR(欧州エコデザイン規則)やCFPへの対応を通じ、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減を追求します。
低圧インバータのサプライチェーン全体での環境負荷低減
当社は鈴鹿工場の低圧インバータ生産ラインにおいて、100%再エネ由来の電力使用による認定を取得しました。同工場では太陽光発電の導入や省エネ化を推進し、2025年7月に同生産ラインの再エネ100%稼働を実現しました。
また、JEMA((一社)日本電機工業会)が発表した「モータ/インバータによるCO2排出削減の実績値を認証・表示する新システムの構築・検証」にも参画しています。低圧インバータの「製品の稼働段階」におけるCO2排出量削減の可視化を推し進めており、低圧インバータのサプライチェーン全体での環境負荷低減に取り組んでいます。
「脱炭素社会の実現」に向けた取り組み
| 環境ビジョン 2030年度指標 |
2024年度 | 2025年度 | 2030年度 目標 |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 実績 | 目標 | 実績 | 施策 | ||
| サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量 (Scope1+2+3)(百万トン) |
56 | ― | 55 | ・第7世代IGBTの比率拡大 | 67以下 |
| 削減率(2019年度比) | -55% | ― | -56% | -46%超 | |
| 生産時の温室効果ガス排出量(Scope1+2) (万トン) |
33 | 34 | 27 | ・自社生産拠点への太陽光発電設備の設置拡大 ・省エネ設備への更新 ・燃料使用設備の電化 ・再エネ電力購入拡大 |
25以下 |
| 削減率(2019年度比) | -27% | -24% | -40% | -46%超 | |
| 製品による社会のCO2削減貢献量(万トン) | 5,769 | ― | 5,888 | ・環境配慮型製品への移行準備 | 5,900超 |
2025年度の主な取り組み
生産時の温室効果ガス排出量削減への取り組みとしては、2022年度から生産拠点への太陽光発電設備の導入を推進しており、2025年度は、国内3拠点に新規設置し、運転を開始しました。また、全生産拠点で横断的な省エネ活動に取り組み、インフラ設備や生産設備の更新の際に高効率で省エネ効果の高い設備を選定するほか、燃料使用設備の電化などの活動を進めました。使用電力量の多い半導体生産拠点では、再エネ電力購入の拡大と安定確保に向け、20年間のオフサイトPPA契約の締結を拡大しました。
サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のうち約94%を占める製品使用時の排出量(Scope3カテゴリ11)については、第7世代IGBTパワー半導体などの高効率製品の比率を高めることで排出量を抑制しました。
※ オフサイトPPA:敷地外に設置した再エネ発電設備などから、電力系統設備を介して電気を購入する仕組み
2030年度に向けた取り組み
2030年度までの生産計画予測を前提に、温室効果ガス削減計画・目標達成の実現性を検証しました。自社生産拠点での生産活動(Scope1+2)に材料の調達から製品の出荷、納入後の排出(Scope3)まで含めたサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減や製品による社会のCO2削減貢献量の各指標について、2030年度目標を達成できる見通しであることを確認しました。
当社の2030年度目標は、NDC(国が決定する貢献:日本政府の脱炭素目標)より高い削減目標としてSBTi(科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を認定する国際的なイニシアチブ)の認証を受けており、さらに2035年度までの削減目標を検討し認証の更新を計画しています。
サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減(Scope1+2+3)
サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を国際基準「GHGプロトコル」に基づき算出しています。Scope3における温室効果ガス排出量の大部分を占めるカテゴリ11(製品使用時の排出量)は、パワー半導体では、電力損失が少ない第7世代IGBTモジュールの売上拡大やSiC製品への移行により、排出量減少を見込んでいます。サプライチェーン上流のカテゴリ1においても、お取引先様との協働活動を推進しています。2030年度目標の達成に向け、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減を目指します。
サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量と削減量
(百万トン)| セグメント | 排出量 | 主な対象製品 |
|---|---|---|
| エネルギー | 0.3百万トン | 産業変電など |
| インダストリー | 6.5百万トン | 低圧インバータ・駆動制御など |
| 半導体 | 44.0百万トン | ― |
| 食品流通 | 0.7百万トン | 店舗流通など |
※ 排出量=当該年度の出荷台数 × 製品1台当たりの生涯排出量
生産時の温室効果ガス排出量削減(Scope1+2)
中期経営計画に基づいた生産増の予測を前提に、生産時の温室効果ガス排出量46%超削減(2019年度比)を目指して、施策を推進しています。
再エネ電力の購入量拡大では、長期契約による安定確保を進め、全社電力購入量における再エネ電力比率を2025年度の27%から2030年度までに55%まで拡大することを目指しています。
※ 電力購入量:電力購入量+自家太陽光発電量
| 主な施策 | 概要 |
|---|---|
| 自社生産拠点への太陽光発電設備の設置拡大 | 2025年度に国内3拠点で運転開始。2027年度までに国内6拠点で新規または増設予定(設置拠点は国内外で22拠点となる予定) |
| 省エネ設備への更新 | 生産設備・空調・照明機器を最新の省エネ型に置き換え |
| 燃料使用設備の電化 | ボイラーや加熱炉など、燃料を使用する設備を電気設備に置き換え |
| 再エネ電力購入拡大 | 再エネ電力の長期契約 |
製品による社会のCO2削減
2009年度より「製品による社会のCO2削減貢献量」を算定し、2025年度の実績は、インバータやパワー半導体製品などを中心に貢献が増加し、前年比増の59百万トンとなりました。
なお、2026年1月に削減貢献量の国際規格(IEC 63372)が発行されたことを受け、従来の算定方法から同規格の算出方法へ見直しを進めています。より客観性の高い開示に努めるとともに、さらなる削減貢献の拡大に努めます。
製品による社会のCO2削減貢献量
(百万トン)※「温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン」(2018年3月 経済産業省)に従い、既存の製品が継続して稼働する場合と、環境性能に優れた製品を投入して置き換える場合とを比較し生じた消費電力の差をCO2換算。2009年度以降に出荷した稼働期間中の製品、および2022年に算定対象を拡大した製品(駆動制御システム、器具製品など)について、1年間稼働した場合のCO2削減量を貢献量として算出しています。
自社製品の使用で抑制できるCO2排出量=(既存製品排出量 - 新製品排出量)× 当年稼働台数
| セグメント | 主な貢献製品(百万トン) |
|---|---|
| エネルギー | 火力・地熱(14.4)、水力(2.1)、太陽光・風力(1.7)、施設電源(0.1) |
| インダストリー | 低圧インバータ(30.0)、駆動制御(2.8)、回転機(0.3) |
| 半導体 | 産業モジュール・ディスクリート・チップ(5.7)、電装モジュール・ディスクリート・チップ(0.1) |
| 食品流通 | 自販機(0.5)、店舗設備機器(0.3) |
| エネルギー | インダストリー | 半導体 | 食品流通 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 算定対象とした貢献製品の売上高 | 290 | 465 | 1,943 | 587 | 3,284 |
| 全売上高 | 3,942 | 4,672 | 2,374 | 1,080 | 12,276 |
| 構成比 | 7% | 10% | 82% | 54% | 27% |
※ 算定対象とした主な貢献製品は上記の凡例に記載の製品となります。その他の製品は、案件ごとに使用条件(負荷率、運転時間など)が異なるなどCO2削減貢献量の客観的な算定が困難であるため、算定対象外としています。
「循環型社会の実現」「自然共生社会の実現」に向けた取り組み
| 2030年度指標 | 2024年度実績 | 2025年度目標 | 2025年度実績 | 施策・活動のポイント | 2030年度目標 |
|---|---|---|---|---|---|
| 廃棄物最終処分率※1(%) | 0.15 | 0.5未満 | 0.08 | 海外生産拠点を中心に分別強化、処理業者の開拓 | 0.5未満 |
| (参考)うち国内プラスチック | 0.12 | ― | 0.004 | 処理業者の開拓により改善 | ― |
| 水投入量売上高原単位(千m³/億円) | 0.9 | ― | 0.81 | 半導体工場でのリサイクル | 1.2以下 |
| 揮発性有機化合物(トン) | 509 | 800以下 | 471 | 回収率向上 | 800以下 |
| 環境配慮型製品への移行 | ― | ― | ― | 環境配慮型製品計画WG立ち上げ、ESPR※2への対応準備 | ― |
※1 最終処分量/廃棄物等発生量 ※2 ESPR(Ecodesign for Sustainable Products Regulation):持続可能な製品のためのエコデザイン規則
2025年度の主な取り組み
欧州を中心にサーキュラーエコノミーへの移行に向けた規制が進みつつあり、サプライチェーン全体での環境負荷低減への取り組み、情報開示への対応が求められています。2025年度は、環境配慮型製品への移行に向けて環境配慮型製品計画WGをあらたに立ち上げ、製品設計段階から環境負荷を低減するための取り組みを推進し、ESPRに基づく独自評価項目の策定や、環境配慮型設計基準改訂の準備を開始しました。
また、廃棄物最終処分量の削減に取り組み、海外生産拠点での分別強化や処理業者の開拓を進め、最終処分率0.08%の高水準を維持しています。国内生産拠点ではプラスチックのリサイクル化を推進し、最終処分率0.004%まで削減しました。
2030年度に向けた取り組み
国内外の環境規制要件に対応すべく、環境配慮型製品への移行に向けた準備を進めています。製品ごとの資源や環境負荷などのトレーサビリティ開示の要求に対しては、CFPの算定やDPP(デジタル製品パスポート)に対応するための仕組みづくりに取り組んでいます。
※ DPP:製品の持続可能性などに関する情報を電子記録として提供する仕組み
環境配慮型製品への移行
当社は、製品のライフサイクル全体で環境負荷を低減する「環境配慮型製品」への移行を、サーキュラーエコノミー推進の柱としています。ESPRをはじめとする国際的な規制への適合と、社内体制の整備を重点的に進めました。
独自の評価項目策定と現状分析
ESPRの要求事項を調査・分析し、「耐久性」「リサイクル性」「CFP」など20の独自評価項目を策定しました。これに基づき、低圧インバータや自販機などの代表機種において評価可否の調査を完了し、課題を明確化しました。
全社設計基準の抜本的改訂
国際規格(IEC 62430)およびESPRの要求事項を統合する形で、社内の「環境配慮設計基準」の改訂準備を進めており、従来の省エネ・省資源に加え、資源効率や情報開示を含めた体系的な指針を整備しています。
今後の計画
2026年度は、プラスチックを主とした再生材の利用拡大を重点項目とし、お取引先様との連携による調達スキーム構築や易解体設計技術の開発を推進します。また、DPPへの対応を見据え、CFP以外の環境負荷を把握するLCA(ライフサイクルアセスメント)の試行に着手し、持続可能な社会に貢献するとともに、環境配慮型製品を通じて市場での製品競争力の強化を図ります。
製品CFPへの対応
当社は、製品のライフサイクル全体における温室効果ガス排出量を「見える化」し、お客様の脱炭素化に貢献するため、製品CFPの算定および削減活動を推進しています。
2025年度は国際規格(ISO 14067等)や国内ガイドラインに準拠した「富士電機CFP算定ルール Ver.1.0」を策定しました。これは「Cradle-to-Grave(資源採掘から廃棄・リサイクルまで)」を範囲としており、製品ライフサイクル全体の排出量の把握を可能にしています。併せて、算定業務の効率化と信頼性向上を目的に、「CFP管理ソリューション」を新たに開発しました。このCFP算定システムは、各事業本部での試用を経て、2026年度より本格的な運用を開始します。
CFPの精度向上には、原材料・部品の一次データの収集が不可欠です。当社は2025年7月に「CFP調達ガイドライン」を公開し、お取引先様への説明会の実施や活動計画の立案を行うとともに、主要部材の一次データ収集に向けた協働活動を推進しています。
TCFD・TNFD提言に基づく情報開示
富士電機は、2020年6月のTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)賛同以来、気候変動が事業に与える影響を戦略に反映し、開示を継続してきました。2024年度にはTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みを導入し、生産拠点の自然資本への依存・影響評価を開始しており、2025年度はさらに深化させています。
2026年7月 TCFD・TNFD統合レポートを発行
気候変動と自然資本は互いに深く依存し、複雑に影響し合っています。当社は、この両者を「一体のリスク・機会」として捉え、ステークホルダーの皆様に環境経営の全体像をより一体的かつ包括的にご理解いただけるよう、2026年7月に統合レポートを発行しました。
統合的な評価と開示の全体像
当社の開示は、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標の4つの柱に基づいています。
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| ガバナンス | サステナビリティ委員会が、気候・自然関連の重要課題を全社横断的に審議し、取締役会が監督する体制を強化しています。 |
| 戦略 | 従来の1.5℃/4℃シナリオ分析に加え、TNFDが推奨する「LEAPアプローチ」を自社拠点からバリューチェーン上流(鉱物採掘等)へ拡大して適用し、経営に直結する優先課題を特定しました。 |
| リスク管理と指標 | 特定したリスクを全社的な管理体系に統合し、温室効果ガス削減や水リサイクル率などのKPIを通じて、目標達成に向けた進捗を厳格にモニタリングしています。 |
詳しくは「TCFD・TNFD提言に基づく情報開示レポート」をご参照ください。
