株主・投資家情報
富士電機レポート2026/統合報告書/財務・資本戦略
財務・資本戦略
各セグメントでのROIC管理の徹底、キャッシュマネジメントの強化、営業キャッシュ・フローの最大化、資産健全性の向上に取り組むとともに、株主還元を強化していきます。
経営企画本部長
当期純利益の拡大と資本コストを意識した事業運営、株主還元の強化により企業価値の持続的向上を実現します。
当社は2026年度を最終年度とする現中期経営計画において「利益重視経営」を基本方針に掲げ、営業利益率11%超、純利益率7%超、ROE12%以上、ROIC10%以上を重要経営指標としています。とりわけ、利益率ならびに資本効率を重視し、各セグメントでのROIC管理の徹底、キャッシュマネジメントの強化、営業キャッシュ・フローの最大化、資産健全性の向上に取り組んでいます。
財務規律については、機動的な対応力に必要な発行体格付け(A格以上)を維持するため、自己資本比率50%程度、ネットD/Eレシオ0.2倍程度を基準としてきました。現中期経営計画を通じて財務基盤は十分に強化され、次なる成長への「投資余力」を蓄積できています。
株主還元については、配当による安定的・継続的な還元方針は維持しつつ、強化していきます。配当性向30%を目安とした配当を実施するとともに、自己株式の取得についてはキャッシュ・フローの状況などに応じ、配当を補完する「機動的な利益還元策」と位置付け、実行します。
今後も資本コストを意識し、適切な財務規律の下でM&AやDX等の成長投資へ資本を配分していきます。資産適正化や政策保有株式の継続的な見直しなど、資本効率の向上にも引き続き取り組み、企業価値の持続的な向上を実現します。
事業環境の変化と当期純利益の拡大に向けた施策の実行
脱炭素化やデジタル化を背景とした電力・データセンター需要の拡大が続く一方、半導体においては電動車(xEV)市場の立ち上がり遅れから、市況は現中期経営計画の策定時に比べ調整局面が見られるなど、明暗が分かれています。当社はこうした変化に機敏に対応し、当期純利益の拡大に向けた施策を着実に推進しています。
2025年度は高付加価値商材による適正な価格形成、生産性向上、徹底した原価低減に取り組むことで着実に利益を積み上げました。為替の円安基調も加わり、当期純利益は980億円、ROE13.1%、ROIC12.6%、自己資本比率56.9%、ネットD/Eレシオ0.0倍となりました。利益蓄積により手元資本が厚みを増す一方、財務レバレッジは低下しました。
2026年においては1,050億円の当期純利益を計画します。資本収益性は中期経営計画の目標をクリアする一方、財務健全性が高まっており、後述する約210億円の自社株買い等を通じて資本効率の維持と自己資本比率のコントロールを図っています。
全社のROICは高水準を維持する計画ですが、金利上昇に伴いWACCも引き上がっています。各セグメントで資本効率や収益性の状況を見極め、中長期的な価値創造と当期純利益の拡大に向け、以下の施策を実行していきます。
電力機器の需要拡大に応える成長投資を国内外の工場で決定しました。2026年度はこれらの生産ラインの立ち上げに着実に取り組むとともに、生産性の向上と内製化の拡大による更なる利益成長を図ることで、全社水準を上回る高いROICを見込んでいます。
コンポーネントが素材価格高騰の影響等によりプラント・システムビジネスに比べて収益性が低い状況にあり、ROICにも課題があると認識しています。最適な生産拠点への機種集約やプラットフォーム適用拡大を推進し、コスト競争力と収益基盤を強化します。
一方で、これまで大規模な資本を投下してきた半導体では、電動車(xEV)市場の立ち上がり遅れ等の影響で利益水準が低下する見込みです。同セグメントのROICが全社の水準およびWACCを下回る見通しであることに対し、経営として強い課題認識を持っています。足元では需要動向に応じて設備投資をコントロールし、相対的に生産性が劣るSiの生産縮小を並行して行うことで抜本的な収益性改善を図るとともに、中長期的な利益成長を牽引するSiCの生産拡大を進めます。
お客様のニーズに合った高付加価値な製品の提供により、全社水準を上回る高い収益性を継続しており、全社のROIC改善および当期純利益の拡大に寄与しています。
主要財務指標
| 2024年度 実績 |
2025年度 実績 |
2026年度 経営計画 (4/28発表) |
2026年度 中期経営計画 |
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|---|---|---|---|---|
| ROE | 14.3% | 13.1% | 12.8% | 12%以上 |
| ROIC | 12.9% | 12.6% | 12.6% | 10%以上 |
| 自己資本比率 | 52.7% | 56.9% | 57.8% | 50%程度 |
| ネットD/Eレシオ | 0.1倍 | 0.0倍 | 0.0倍 | 0.2倍程度 |
キャッシュ・フロー・アロケーション
2025年度は、営業キャッシュ・フロー(研究開発費除く)を中心にトータル1,685億円のキャッシュインを創出しました。
創出したキャッシュは将来の成長に向けた投資へ優先的に充当し、キャッシュアウトとして1,329億円を投じました。このうち、エネルギー、インダストリー、半導体を中心とした設備投資に797億円を投じています。
2026年度は、1,760億円のキャッシュインを見込みます。引き続き状況に応じて設備投資のアクセルとブレーキをコントロールする一方、競争力の源泉となる研究開発投資と生産性の向上や経営判断のスピードアップに資する情報投資は積極的に推進します。中長期的な見通しのもと、将来の成長に資する成長投資の検討とともに、自社株買いによる還元も含めたキャッシュ・フロー・アロケーションを実施していきます。
株主還元の強化
中長期的な事業サイクルを勘案し、安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としています。2025年度は対前年度40円増配となる一株当たり200円の配当を行い、現中期経営計画で目標とする配当性向30%をクリアしました。
2026年度は期初業績予想に対して、配当性向30%を基にした一株当たり107円の中間配当予想を新たに開示し、総還元性向50%となる約210億円の自社株買いを実行しています。
取得した自己株式は将来の事業拡大等への活用に加え、中長期的な企業価値向上に資する機動的な資本政策の選択肢として、消却も含めた最適な取り扱いを検討します。
